御慶! 何と曼荼羅畑10年目突入。根気があるのか暇なのか(はたまたただの馬鹿なのか)。奇特な読者に支えられて、さてあと何年いけるでしょうか。
本年1発目は、やはり奇特なファンに支えられているこの作品から。
「ファンタズムⅤ[PHANTASM:RAVAGER]」(2016年デヴィッド・ハートマン監督)
人気シリーズの最新作にして主役アンガス・スクリムの遺作だと言うのに、公開予定無し。当然、ソフト化予定無し。
仕方がないので輸入盤BDを取り寄せました。
1作目から37年、前作から数えても18年という呆れるしかないブランクを経て発表された完結編。サブタイのRAVAGERは“破壊”。何を壊す気だコスカレリ(製作・脚本)。
荒地の彼方から蜃気楼のように現れたのは…レジー(レジー・バニスター)。
彼の口から時空を操る怪人トールマンと、彼との闘い中でバラバラになってしまった友、マイクとジョディの事が語られます。
レジー、完全に主役じゃないか。1作目の脇からの主役昇格。「トレマーズ」のバート・ガマー(マイケル・グロス)と並ぶ快挙です。
颯爽と愛車を飛ばすレジー。ふと気がつくとそこは療養施設。車椅子で運ばれる老いたレジー。車椅子を押しているのはマイク。
ここはどこだ? 俺は何をしている? マイク、やっと会えた。トールマンはどうした?
病人と戦士。本当の自分はどっちだ?
哀しげに微笑むマイク。どういう事だ。全ては俺の病んだ心が紡いだ妄想だったのか。
レジスタンスのリーダーであるマイクと共にトールマンの眷属と戦うレジー。病室の窓から空を眺めながら命の尽きる日を待つレジー。
どちらが現実? どちらが夢? どちらも現実? どちらも夢?
という平井和正の「夢のふたつの顔」をモチーフにしたかのような幻想世界。
本作を観る条件は、
1作目から4作目までを観ていて且つ、このどうしようもないグダグダのシリーズが好きで好きで堪らないこと。
話は進むようで進まないし、トールマン役のアンガス・スクリムなんか撮影時89歳。ちょっと背が高いだけのお爺ちゃんですよ。今更、怪人の気迫出せって言われても…。
お疲れ様でした。
でもいいんです。悪夢にオチも結末も不要です。どこまでも不条理、いつまでも未熟。クリストファー・L・ストーンのテーマ曲に身を委ねて飽きる事無く眺める環境ビデオです。
ファンタズムに栄光を。アンガス・スクリムに安らぎを。そして、ドン・コスカレリに次の仕事を。
本年も宜しくお願い申し上げます。