デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

肘は槍、膝は剣。 マッハ!!!!!!!!

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「膝は槍、膝は剣。進む道は伝説となる」

諸手を上げて賞賛したいのは山々なのですが、実に複雑な気分です。

マッハ!!!!!!!!

(2003年/プラッチャヤー・ピンゲーオ監督)


タイの寒村オンブラトゥ。盗賊が守り神(仏像)オンバックを首チョンパ。エライこっちゃ。早く取り戻さないと村に災厄が! ってな訳で仏頭奪回の使者がバンコクへ。

選ばれたのはムエタイの奥義を極めた若者ティン(トニー・ジャー)。

ノースタント、ノーCG、ノーワイヤー、ノー早回しなアクションは半端ありません。お前、回し蹴り一発放つのに空中で何回転してんだよ!?

ムエタイ特有の打撃戦も新鮮。膝・膝・肘・膝・肘・膝・膝・肘・・。

TUKTUKを使ったカー・チェイスブルース・ブラザースっぽい)や、棒術(1本ものが折れてカリに)→トンファーという燃えドラリスペクトな変化のつけ方もいい感じ。

なのですが、お話の稚拙さとキャラ立ちの悪さが思いきりアクションを阻害。

相棒は“憎めない”小悪党の設定のようですが、改心するまでが長すぎて苛立ちが募ります。

紅一点の女は話の本筋に全く絡まない、声がでかいだけの(多分)大根(いや、タイ人って皆声が高いからそう感じるだけかもしれませんが)。

なにより主役が演技ゼロのアクション・マシンで、「感情移入って何?」

巧く肉付けすれば、キリコ、バニラ、ココナに匹敵するトリオになったかもしれないのに。

以前は、アクションの合間合間にコメディを挟むジャッキーの絵作りに疑問をもっていたのですが、これ観るとジャッキーは正しかったのかも、と思えてきます。

何となく、新日本のアンチ・テーゼとしてUWFが生まれた状況と似ているような(つまり、次にはそのアンチ・テーゼとしてFMWが生まれるのではないかという・・)。

ま、仏像は大切にしろって事ですか(強引な結論)。

※参考:「修羅雪姫降臨。チョコレート・ファイター」→2010年2月3日