『たかが1分の祈りで天上の人と話がつくとでも思っているのか、トニー?』
Do you really think a one minute prayer...
is going to straighten things out with the big guy upstairs, Tony?
フランク・ストーン。職業は殺し屋…ではありません。
ありませんが、仕事の都合上、始末をつけねばならない奴が多く、結果的に殺し屋のように見えてしまう不幸な人です。
「ある殺し屋 KILLER FRANK」
(2015年/カマル・アフメド監督)
原題っぽくKILLER FRANKと付いていますが、原題は「LAUGH KILLER LAUGH」。
「RUN LOLA RUN」とか「DIE! MONSTER DIE!」とか「FLY ROBIN FLY」とか(しつこい?)と同じ構文ですね。
フランク(ウィリアム・フォーサイス)は冷徹な盗みと殺しのプロですが、つけっぱなしのラジオから聞こえてくるのは幼年期に収容されていた孤児院院長のMADな訓えという“電波系”。
この院長(トム・サイズモア)の独白ともインタビューともつかぬ(最後にちゃんと聞き手がいることが明かされますが、誰かは不明)俺様理論が合間合間に挟み込まれ、ドキュメンタリーのような独特のリズムを作っています。
かと思えば音楽は60年代TVドラマを思わせる大仰なサスペンスタッチ(いい感じ)。
元々50年代ノワールとして企画されたようなのですが、時代考証もろもろ予算的に無理となって現代劇になった模様。
フランクはボス、トニーの指令で動く人斬り以蔵のような存在(って事はトニーは武市半平太か)。
ある日フランクは偶然声を掛けられた女ジャッキー(ビアンカ・ハンター)に惹かれて、彼女が通う市民講座(小説講座)に顔を出すように。
小説講座に通う電波系の殺し屋…シュールです。しかも題材に自身の日常を選んだら妙にウケて(そりゃリアリズム満点だし…)。
ついでにジャッキーとも打ち解けていい仲になるのですが、彼女がおよそヒロインらしくない容姿の持ち主でちょっとびっくり(「そこまでオフビートかよ!」)。
で、この私小説の課題朗読が“情報漏洩”と見做され、組織から命を狙われる破目に(ジャッキーはとばっちりであの世行き)。
一旦は生死の境を彷徨い、壊れた笑い袋のようになりますが、ジャッキーの死を知って覚醒。
寡黙、冷徹な反面、失礼なギャグを飛ばした腹話術師の人形をヘッドショットしちゃう直情型。殺るとなったら一気呵成。タメ無し隙無し待った無し。
小気味良く死体の山を築いていきます。
天王山であるボスのトニーに対してフランクがとった行動は…。
ウルトラ当てずっぽうですが、タランティーノは本作大好きなんじゃないかと思います。
★ご参考
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★本日のTV放送【13:35~テレビ東京/午後のロードショー】