『分かってるのね?』
『分かってる。神様みたいに軽いものが銃の先っぽに止まったんだ。それだけだ』
Taste of Cinema選出のThe 30 Best Japanese Cult Films of All Time第3位。
ハードボイルドとアートとコメディを混ぜる前にぶちまけてしまったカルトの先駆者。
「殺しの烙印」(1967年/鈴木清順監督)
のっけから素人感爆発な主題歌「殺し屋のブルース」に唖然。
誰だよ、これ歌ってるの…って大和屋(←脚本家のひとり)かよ!。
主役は“殺し屋世界ランキング”第3位の花田五郎(宍戸錠)。
この“殺し屋世界ランキング”という一発アイデアを大和屋竺が立てて前半部をハードボイルド・タッチで書き、残りを複数の脚本家(監督、大和屋含め総勢8名。田中陽造や曽根中生の名前も。共同ペンネーム・具流八郎)が持ち寄って貼り合わせたキマイラ企画。
天晴れなほどの筋の通らなさがカルトの誉れを上塗りしています。
まず、「米の焚ける匂いが大好き」という炊飯スメルフェチな設定が凄い。
パロマガス炊飯器とのコラボだったそうですが、売上上がったのか、パロマ?
「拳銃(コルト)は俺のパスポート」(←これも67年だ!)的展開になるのかと思いきや、ルパン三世チックな活劇になったり…。
殺しの後はバルーンで脱出…ってどうやって降りたんだ?
後半はひたすら前衛の坩堝。このアートな雰囲気(訳の分からなさ)は後の映像作家に多大な影響を与え…
ジム・ジャームッシュは「ゴースト・ドッグ」でリスペクトを爆発させておりました。
鳥の死骸と水道管スナイプ(下2枚が「ゴースト・ドッグ」)。
殺し屋世界ランキングは「ポストマン・ブルース」でネタとして使われていましたね。
雰囲気だけで言えば、押井守の「紅い眼鏡」もこの映画の影響を受けていそう(あ、本作を参考にしたとWikipediaに書いてある…)。
清順監督は本作の「早すぎた前衛」がトリガーとなって日活を解雇されました(前年の「けんかえれじい」との併せ技って感じですかね)。
この解雇事件と付帯した諸々を不服とした映画人や大学生有志が「鈴木清順問題共闘会議」を結成、映画界を巻き込んだ法廷闘争に発展するのですが、それはまた別の話。
冒頭ご紹介したThe 30 Best Japanese Cult Films of All Timeのアドレスはこちら→http://www.tasteofcinema.com/2016/the-30-best-japanese-cult-films-of-all-time/
何と1位は清順監督の「肉体の門」(1964)でした。
★ご参考
★そして押井守も完コピした清順作が
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★本日のTV放送【13:35~テレビ東京/午後のロードショー】