デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【褒める所は無いけれど】ア・ホーマンス【嫌いになれない罪な奴】

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『スジ者でもねぇ、犬っころでもねぇ
 ましてや普通の素人さんでもねぇ。…困ったなぁ』

『人間ですよ』

『…いつか一杯やろうか。な』

抗争が激化する新宿にふらりと現れた記憶喪失の男。

対立している旭会が手を組んだという関西組織の鉄砲玉か。警察の潜入捜査官か。

名前も覚えていない男に大島組の幹部・山崎(石橋凌)は名前をつけました。

風(ふう)さんと。

ア・ホーマンス
(1986年/松田優作監督)


小池要之助の初(そして唯一の)本編監督作になるはずでしたが、優作とぶつかって解任(自主降板とする文献もある)、優作の初(そして唯一の)監督作となりました。

脚本(丸山昇一)から撮影(仙元誠三)から役者まで優作配下のYESMANで固めて撮った俺様の実験映画

優作の企み試みは今見ても“稚拙”でどれも成功しているとは言い難いです。

とは言え…。

甲高い声で頭のてっぺんから喋る山西道弘片桐竜次ポール牧

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そのキャラ作りってどうよ?と思いつつ、印象に残っているのは事実。

ドスの効いた恫喝でしかやくざを表現できなかったたけしに比べれば新しいものを生み出してやろうという気概は感じます。

優作と手塚理美が物理的距離はそのままにカメラが主観で寄っていく「気持ちが近づいていく様子を表現してみました」なカットは意味不明な上に見ていて恥ずかしい代物でしたが、試行錯誤のドキュメントとして楽しめました。

カメラを回転させて「街が揺れ動いている様を表現してみました」カットは発想が高校生な上に酔うのでやめてほしかったですが…。

再見しての印象は、鈴木清順三池崇史÷押井守って感じ。

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「ヨコハマBJブルース」繋がりで、工藤栄一阿木燿子がゲスト出演。

優作の監督2作目、観てみたかったですねえ。 

 

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★ご参考 

mandarabatake.hatenablog.com