『運命はまるで犬のようだ。恐れなければ噛まれはしない。
勝者になりたければ…噛まれる前に噛め!』
「ザ・ヴェンジェンス」
原題は「VENGEANCE OF ANASSASSIN」。暗殺者の復讐。実に偏差値貧乏でナイスです。
冒頭、整備工場のような所で繰り広げられるムエタイ・サッカーがすんごぉい。
球も頭も等しく蹴り飛ばす格闘球技。
サッカーがこういうルールになったら私も観ると思います(←基本、あらゆる球技に関心がありません)。
で、真に凄いのは、このシーンがストーリーに全く絡まない事。主人公兄弟の関係性の暗喩とかでもなく、要するに“撮りたいから撮った”だけ。
ダリオ・アルジェントの作劇技法にも一脈通じる(?)我侭論法です。
お話は、何かのミッションに参画していた両親が罠か何かでハメられ殺され、叔父に引き取られ成長した兄弟の復讐話…なのですが、アクションシーンを繋げるために後付けで添えられたもののようで、辻褄も整合性も彼岸の彼方。
もはや黒幕が誰だろうが、真の依頼人が誰だろうが、アイドルタレント暗殺計画にどんな意味があろうが、どーでもいいです(碌に推敲もされていない脚本なので考えたら負け)。
ひたすらつるべ打ちのアクションに身を任せる“質の高いVシネ”として観るのが吉。
困ったのは“誰かに似ている”顔立ちの役者さんばかりなので、「あーこれと同じ顔の人知ってる。誰だっけ?」とあらぬ方向に思考が飛んでしまうこと(笑)。
見所は勿論ハイテンション・バトル。銃火器は言うに及ばず、工具、ワイパー、ナンバープレートからチキンの骨に至るまで手にする全てが殺人凶器。
手近にある物は何でも(武器として)使う、はジャッキーのお家芸でジャッキーはこれを笑いに転化していましたが、本作ではことごとく痛みに還元。
観ていて「痛たたたたた!」と叫ぶこと数回。クライマックス近くでは無駄に華々しいシーンもあってはサービス精神だけは満点。
「ダイハードかよ!」
役者が全員、体を張っているだけに杜撰な脚本が惜しまれます。
★ご参考
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