「当て逃げや当て逃げ!ポリが当て逃げや!」
「くそったれ!ポリ公のくせしやがって!」
「ポリが人ハネたで!追え追え!」
「あんたら早よ追わんと!賠償とれまへんで」
「これは何事でしょう、正にキチガイ沙汰・・失礼しました、ちょっと知恵の遅れた人のような・・」
銀行強盗犯人(渡瀬恒彦)、金の横取りを狙う男(室田日出男)、出世街道から外れたテンパリ機動警察巡査(川谷拓三)とパトカー軍団、やくざ、暴走族、国営放送に市井の一般車両数十台・・タイトルに偽りはありません。
「暴走パニック 大激突」(1976年/深作欣二監督)
行きずりの女拾ってカーアクション(あ、俳句になってる)と言えば「ダーティメリー・クレイジーラリー」。
ピーター・フォンダが拾ったスーザン・ジョージは単なる厄ネタでしたが、渡瀬が拾った杉本美樹は守護天使。ここが最大の違い(断言)。
いや杉本も厄ネタには違いないのですが、とにかく健気。雨に濡れた捨て猫のよう。ひとつしかない得意料理を甲斐甲斐しく。そのくせいざとなったら体を張って渡瀬を守る・・そりゃあ置いてはいけませんわねえ。
こういうやさぐれ健気な薄幸女演らせると杉本はピタっと嵌りますね。
いくつものエピソードがある一点でクロスしていく構成は「パルプ・フィクション」を思わせます(オチは「ナチュラル・ボーン・キラーズ」っぽいし、絶対タラは影響受けているでしょう)。
全編、爆(は)ぜまくり弾けまくりの85分(内20分はカーチェイス。台詞の多くは放送禁止)。

こういうの観ちゃうと、広告屋とテレビ屋が費用対効果(奴らはこれをマーケティングと呼ぶ)だけで作った、あるいはスイーツ野郎が手前勝手な妄想こねくり回しただけの今の邦画なんかとても観る気になりません。
※参考:「0課の女/赤い手錠(ワッパ)」→2008年2月3日
「暴言承知で敢えて言う。スーザン・ジョージが邪魔。
「ダーティメリー・クレイジーラリー」→2008年9月24日