当初、レビューのタイトルを“悪魔の二人羽織”にするつもりだった事を懺悔と共に告白いたします。
フェニックスの魂が解放された時は、彼らと一緒になって拍手をしておりました。さめざめと泣きながら。
「サンタ・サングレ/聖なる血」(1989年/アレハンドロ・ホドロフスキー監督)
サーカスの団長にしてナイフ使いの名手オルゴと刺青女の逢引を目撃した妻コンチャ。「舐めんなよ!」と夫の股間に硫酸一閃!
「お前こそ!」とオルゴはコンチャを腕チョンパ(しかも両腕)! 返す刀で自らの喉掻っ切ってあの世行き。
刺青女は養女アルマと共にバックレ。全てを目撃した息子フェニックスはショックで心を閉ざし特別施設へ。
時が流れて。成長したフェニックスが街で偶然「刺青女」を目撃。そして、両腕の無い女がやって来た。
母の支配下で彼女の腕となって殺人を続けるフェニックス。
製作:クラウディオ・アルジェントだけあって、犯行シーンは結構エグイ(「サスペリアPart2」っぽい)。
エド・ゲイン事件から「サイコ」が生まれたように、この作品にも下敷きとなる事件(メキシコで30人以上の女を殺して庭に埋めていた奴がいたらしい)があったそうです。
最も猥雑で最も詩的で神憑り的美しさを湛えた「サイコ」のエピゴーネン(と言ったら監督は怒るでしょうが)です。
余談ですが、象の葬送シーン、あれ現地の風習なんでしょうか? ある区画を隔離するかのような谷に象の死体を落とすと、得体の知れない人たちがわんさか現れて、またたくまに象を解体して持ち去ってしまうという・・。
30人埋葬事件も含めて侮れませんね、ラテン・アメリカは。