デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

崩れていく、壊れていく…。 戦慄の絆

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『弟と同じ時間に薬を飲まないと。シンクロニシティが大切なんだ』

昨日の一卵性双生児・姉妹編に続く“兄弟編”。

戦慄の絆(1988年/デビッド・クローネンバーグ監督)

双子の産婦人科医エリオットとビヴァリー。立ち回り上手な兄エリオットと研究熱心な弟ビヴァリーは二人で一人(ジェレミー・アイアンズが二役)。

仕事も名声も女もシェアし合う二人。しかし、ビヴァリーが一人の女(ジュヌビエール・ビジョルド)を愛した時、兄弟の均衡が崩れ始める・・。

兄の影に隠れていた弟の自我の覚醒。壊れていく精神。弟を救うと言いながら、共に狂っていく兄。

シャムのように物理的な繋がりこそありませんが、共時性を持つ肉体は正に精神的シャム双生児(兄を診察台に横たえ、『これからシャムの分離手術をするんだ』という台詞まであります←凄~く怖い)。

元々性格の異なる兄弟が、同じ“狂気”という着地点にたどり着く様を一人で演じる・・神憑りですジェレミー・アイアンズ

そう言えば、ジュヌビエール・ビジョルドも「愛のメモリー」で二役(母娘)演ってましたね。

ビヴァリーがデザインする“産婦人科様手術器具”の数々(写真中央)が、実にクローネンバーグしていていい感じです。家に飾っておきた・・くはないですね(笑)。

N.Y映画批評家協会最優秀男優賞
ロサンゼルス映画批評家協会最優秀監督賞・助演女優賞
アヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭グランプリ/高等技術委員会賞

兄弟ホラーにはもう一本真打ちがありますが、それはまた近々。

※クローネンバーグの華麗なる作品集はこちら↓

ビデオドローム」 →2008年3月9日
ヒストリー・オブ・バイオレンス」 →2008年5月11日
「初心者向け内臓幻視。 イグジステンス」 →2008年7月18日
「荒涼とした景観が堪らない。 スキャナーズ」 →2008年12月4日
狂犬病モントリオール壊滅!? ラビッド」 →2009年3月2日
「エロいぞリン・ローリー!グロいぞ寄生虫シーバース
 →2009年4月1日

「実録在英ロシアン・マフィア。 イースタン・プロミス
 →2009年9月4日

「デッド・ゾーン」→2009年9月5日