デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

タイトルに偽り有り過ぎ。 唐獅子警察

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「お前に借りができたな」
「新しいのがひとつ増えただけやろ。間違えんな」

隠しても溢れ出るスターのオーラをなびかせた小林旭。抑えても抑えきれない狂犬の性を撒き散らす渡瀬恒彦

腹違いの兄は組長、弟は愚連隊。タマ殺(と)り合う定めの二人。

唐獅子警察(1974年/中島貞夫監督)

というタイトルですが、唐獅子の紋々も警察も出てきません(看板に偽り有りにも程があります)。

原案はかわぐちかいじ。彼の漫画が原作です(未読)。

河岸の長屋(スラム)、親も故郷も棄てた兄はやくざの道へ。正妻・妾二人の母の死に水とった弟は兄を超えるべく愚連隊へ。

渡瀬が凄まじいキレっぷり。狂犬キャラ演らせたら、この人の右に出る者はいないでしょう(ホンモノ安藤昇が霞んで見える。ある意味、実の兄をも超えています)。

兄の反対組織と手を組んで勢力拡大するも、老獪な年寄りの懐柔で上同士があっさり手打ち。知ったこっちゃねぇとばかに関係者弾いて西も東も敵に回す破れかぶれな暴れ方。

最後は兄弟二人、棄てた故郷のスラム街で鉛弾の飛ばし合い。弾が尽きればドスと出刃で抉り合い。

そりゃまあ、やくざですから、やってる事は犯罪なのですが、私はスラムの住人、遠くから石を投げ、人を指差し笑い、死体に唾するこいつらが一番の人でなしに見えました。