『そんな話聞いてないぞ。責任者は誰だ?!』
『何言ってんですか、国のやる事に責任者なんかいる訳ないでしょ』
『学者の言うことなんかアテにならんぞ』
『国の言うことよりはアテになるかと』
『それって…誤魔化してるって事?』
『って言うより嘘です』
最早地上波は勿論、BS、CS、ケーブルですら放送不可能(完全自粛)だと思いますが、今やらないでいつやるんだ?
「東京原発」(2002年/山川元監督)
東京都庁で都知事(役所広司)が緊急会議召集。にこやかに放った第一声は、
『東京に原子力発電所を誘致する!』
原発は本当に安全なのか? その実態を議論する前半は今や作り手の意図を超えて全く別の意味合いを持ってしまいました。
『原発止めたら電気止まるんですよ!』
『……止まりませんよ』
『あたしたちは原発がなくなると電気が止まるって脅されていたのね』
『放射能は我々の眼には見えませんし、匂いもしません。漏れたら隠してとぼけたい連中にとっては都合の良い代物です』
『それって…漏れてるって事?』
エンターテイメントとしての体裁を整えるために、内緒で陸路搬送している高濃度プルトニウム(MOX)輸送トラックがジャックされた上に爆弾を仕掛けられる後半のエピは正直不要。
芸達者な役者が集まっている中で、ここだけ演技もロクにできないガキが出てきて、1人で全体の雰囲気を壊しています。
もう「12人の怒れる男」パターンと開き直って、喧々囂々の議論をして、徐々に都知事の真意が見えてくる、という構成で引っ張って欲しかったです。
『甘いな。そんな事で世界一無関心な東京都民が動くと思うか? 人間は過去の事はすぐ忘れる。終わった事には関心が無い』
もう一度言う。これ今流さないでいつ流す?
※ついでと言っては何ですが東映ビデオさん、「生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言」早くDVD化してください!