デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【雪風、響、抜錨!】ゴジラ-1.0【震電、離昇!】

やたらと世評が高かったりオスカー獲っちゃたりした作品はつい斜(はす)に構えてしまいがち。しかも監督が「この人にドラマ演出はできない」と(私に)確信させたSPACE BATTLESHIP ヤマト山崎貴ときたら尚更。

で、結果どうだったかと言うと「大変面白かった」です。

細かい文句はたぁくさんあります。

終戦直後の混乱期なのに役者の顔が綺麗すぎ(メイクばっちり)。栄養失調寸前の赤ん坊も元気一杯お肌つるつる。セットも小道具もぴっかぴか。ゴジラに蹂躙されパニック状態の銀座で男女が出会う天文学的ご都合主義、ソ連を刺激することを恐れた米軍が軍事活動忌避という説明だけで政府もGHQも描かない(ゴジラ対策は民間主導)という神業手抜き…etc.

総じて人間ドラマ部分はペラッペラ。なので役者とか演技とかは大鉈振るってバッサリ割愛。

それでも見どころありました。沢山。タイトルはマイナス1.0でしたが総合的にはプラスということで。

ゴジラ-1.0」(2023年/山崎貴監督)

主人公は特攻バックレて(機体故障と偽って)大戸島の守備隊基地に着陸した敷島浩一(神木隆之介)。

情けない事に敷島という名前を聞いて最初に思いついたのが敷島博士(@鉄人28号)、次いで敷島製パン。偏差値貧乏の極みですが、これはストレートには日本初の神風特別攻撃隊となった「敷島隊」からの引用でしょう。もちっと深読みすると、実在した可能性のある最初の天皇崇神天皇(すじんてんのう)の宮に由来する国号という見方も。

第1作では皇居を前に踵を返したゴジラを今度はこちらから迎え撃つという構図を狙ったのかも…(邪推ですね)。

本作の私的見どころは、終戦直後という時代背景から旧日本軍の戦力(米軍に接収されたが巨大生物対策用として一部返納された、という設定)があれこれ拝めるところ。

敷島がありついた「割のいい仕事」機雷撤去。機雷は現地調達可能で、撤去用の木造船・新生丸には、その爆破のための機関砲が搭載されていると言う理由で巨大生物の「足止め」を命じられる破目に(ザ・貧乏くじ)。

新生丸は架空の船ですが、背びれを見せたゴジラが新生丸に迫る構図が大迫力でいい感じ。


ここに駆け付けてくれたのが、重巡洋艦・高雄

ゴジラにのしかかられ斜めに傾きながらも主砲・50口径20.3cm連装砲の近接射撃を試みる気合を見せます(結果、ゴジラの本気を引き出して海の藻屑に…)。


上陸したゴジラは「待ってました!」と大向こうから声が掛かりそうな伊福部サウンド(「モスゴジ」アレンジ)に後押しされて銀座一帯をガラガラポン

この銀座蹂躙シーンでゴジラを迎え撃つのが四式中戦車チト(四輌)。


国会議事堂を背負った陸軍唯一の見せ場です(存在感ないなぁ陸軍)。

日本からもアメリカからも見放され、民間有志(作戦の都合上、全員元海軍)で行うことになったゴジラ除去作戦。

芹沢博士はいないので、オキシジェンデストロイヤーはありません。あるのは知恵と勇気。フロンガスを利用してゴジラを一気に海底深く沈め、水圧の急激な変化で細胞を圧壊させようという「科学と学習」大作戦(正式名称:海神-わだつみ-作戦)。

この作戦を牽引するのが駆逐艦雪風「響」

あっかんべ娘(雪風)とカレー鍋娘(響)です。


戦果を上げつつ一度も大きな損傷を受ける事なく終戦を迎えた奇跡の駆逐艦雪風と戦火により3度の甚大な損傷を蒙ったにもかかわらず沈没せず、終戦まで生き残った強運ぶりと活躍から「不沈艦」「不死鳥」と呼ばれる響。

キャラはどちらも超天然。無敵です。

ただひとつ残念だったのは、側面に描かれた艦名。

YUKIKAZEはないだろう。米軍接収時に書き換えられたのか? 並走する響もHIBIKIになっちゃってるし。


正しくは「ゼカキユ」

そして始まった海神作戦。作戦とは即ち段取りです。

『全艦戦闘準備!』

『フロンボンベよし!』

『46サンチ砲弾よし!浮上装置起動よし!』

『ケーブル連結よし!』

『全回路接続完了!』

『通電確認!安全装置を解除します』

おおー、初号機リフトオフ&ヤシマ作戦じゃないですか。

この作戦を空から支援するのが震電。大戦末期に大日本帝国海軍が試作した極地戦闘機の1機が暫定配備のどさくさで接収を免れ生き残っておりました(実際には試作1機しか作っていなかったようですが)。

ストライクウィッチーズ2」で零式艦上戦闘脚二二型甲に替わって宮藤芳佳が装着するストライカーユニットでもあります。


艦これ×ストパンゴジラ殲滅。

見どころしかないじゃありませんか。

時に本編中一体何回『やったか?』って言ったんでしょう? どなたかお暇な方いらっしゃいましたら数えてみてください(ギャグとして使っているんですよね、監督?)。

 

★猫以外褒めるところが見つからない…

雪風&響に関してはこちらを。

★段取りのシークエンスに関してはこちら。

震電はここでも登場しておりました。

 

 

 

 

ランキング投票です。雪風好きな方はワンポチを。

 

 

 

 

★本日のTV放送【13:40~テレビ東京午後のロードショー