デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

古きもの全てを道連れに…。 鉄人28号/最終回・罪と罰

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実写版の出来が血管破裂の暴動レベルだった事の反作用として始めたTVアニメ版レビューもいよいよ最終回。

このシリーズのテーマは、“高度経済成長を迎えるための通過儀礼”、即ち“大東亜戦争負の遺産全ての廃棄と抹消”にあったようです。

クライマックスの舞台は黒部渓谷。

鉄人28号/最終回・罪と罰(古川順康演出)

“もはや戦後ではない”を旗印に復興を遂げつつある日本経済。

立ち並ぶ工場群。その稼動音は高度経済成長の鏑矢。

しかし、困った事がひとつ。それは電気。

工場群の稼動を支える電気の不足。可及的速やかなダム建設による電気の提供こそ明日の日本の羅針盤

建設候補地は黒部。過酷な地形、マンパワーの不足、そしてなにより資材・物資の不足(ベラネード財団と結託しているPX団が部材工場を破壊しまくっている)。

業を煮やした作業現場は建設ロボットの導入を決定(レイバーだ!)。

敷島製作所を引き継いだビッグ・ファイヤー博士がベラネード財団の後ろ盾で開発した量産型ブラック・オックスが黒部へ。が、しかし…。

オリジナル・オックスの電子頭脳と量産機を並列に繋いだために、全機が不乱拳博士の初期設定(対鉄人破壊兵器)にリプログラム。

黒部を覆いつくすブラック・オックスの群れが制御不能に。このままでは完成間近の黒部ダムが!

東京では正太郎らがPX団との攻防戦の末、差し押さえられていた鉄人を奪取。

バギュームを注入されて桁違いのパワーを得た鉄人(「エヴァ:破」における“モード反転。裏コード、BEAST”みたいな感じでしょうか)。

しかし、それは“太陽爆弾”としての覚醒を意味し、滅びの定めを全うすることが確定した瞬間でもありました。

もう後半は少年探偵としての勢いはどこへやら。正太郎はひとり悩み苦しみ哀しみ悶絶しながら、父の残したもうひとりの自分と対峙することになります。

「そういうウジウジした事はシンジに任せておけや」という意見もあるでしょうが、この“古きもの全てを道連れに”滅んでいく鉄人という姿は日本人のツボを突く美学を内包しています。

色々と突っ込み所もありますが(何度も分解整備をしているはずなのに、誰一人鉄人の中の太陽爆弾に気づかないのは変だ、とか)、実写版鉄人に怒髪衝天(または意気消沈)した人は是非口直しにご覧ください。

 

★ご参考