デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

振動があったんだ!! チャイナ・シンドローム

イメージ 1
『There Waaaaas A Vibration!』

最早日本では永遠にお蔵入りかと思っておりましたが、NHK-BSがまさかの放送(12/5)。

しかも、メディアの虚構を告発する「ネットワーク」と連チャンで。

受信料を払っていた甲斐がありました。偉いぞ、NHK。

チャイナ・シンドローム
(1979年/ジェームズ・ブリッジス監督)


TVキャスターのキンバリー(ジェーン・フォンダ)とカメラマン、リチャード(マイケル・ダグラス)は原発取材中に事故と思しき異常事態を目撃。

リチャードがとっさの機転で隠し撮りに成功しますが、放送はお蔵入り。

原発は何事も無かったように再稼動。しかし、監視室長・ゴデル(ジャック・レモン)はタービンから漏れている放射性物質を発見。

全米公開直後にスリーマイル島原発事故が起きるという洒落にならいプロモーションで大ヒットを記録した“社会派だけどきっちりエンタな娯楽作”です。

若手(?)も頑張っていますが、やはりジャック・レモンでしょう。

『電気をつけるたびに10%は俺の事を思い出してくれ』
『どうして?』
『電力の10%は原子力だからさ』

仕事に自信とプライドを持っている監視室長が、施設の不備を知った時、そして上層部がこれを隠蔽しようとしている事を知った時・・。

本作が発表されてから30年以上・・原発をめぐる状況は何一つ、本当に何一つ変わっていないんですねえ。

残念な事に現実社会には(陪審員の中にヘンリー・フォンダがいないように)、ジャック・レモンは存在しません。全てが闇から闇。

カラーバーがぶつっと消えて、無音でスクロールされるスタッフ・キャスト・クレジットがエライこと不気味でした。

余談ですが、本作公開前、「ジュリア」か「帰郷」のパンフレット(どっちだったかは覚えてません)の「ジェーン・フォンダ出演作」一覧に、

「中国症」(1979)

という記述がありました。何でも横文字まんまのカナ表記にするのもどうかと思いますが、無理に訳すのも如何なものかと思います。