デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【流れる時間は絶えずして】映画 ゆるキャン△|映画 Dr.コトー診療所(の予告編)【しかも元の時間に非ず】

『うんうん。ゆっくり行こうねー』

時間の流れは一定ではありません。ある時はギアがトップに入って周りの景色が見えないほどの速さに。かと思えば、突然シフトダウンして視界が開けることも。

そして振り向いて初めて流れた時間の大きさに気づくのです。

「映画 ゆるキャン△(2022年/京極義昭監督)

冒頭、松竹の富士山マークが富士山の実景(いやアニメなんですけどね)へ。

「レイダース/失われた聖櫃」でパラマウントのマークが実景にモーフィングして以降、良く目にする光景になりましたが、松竹富士のモーフィングは「ゆるキャン△」のためにあるようなもの。掴みはOKでございました。

社会人となってそれぞれの道を歩んでいる野クル(準構成員含む)のメンバー。

リンは名古屋の出版社に、なでしこは東京のアウトドアショップに、千秋はイベント企画会社…を退職して地元山梨の観光推進機構へ、あおいも地元山梨で小学校の教師に、そして恵那は横浜でトリマーに。


千秋の抱えてる「高下(たかおり)で5年前に閉鎖された施設の再利用問題」が「キャンプ場開発計画」に発展、久しぶりに野クルメンバーが一堂に(「俺ガイル」八幡風に言うなら『迷惑かけても俺の心が痛まない連中に声かけた』)。


集まれば鍋。飯テロも健在。


キャンプ場開発と言うビジネスのリアルは考えてはいけません。気にしたら負けです(何もかもがザル過ぎで千手観音でも突っ込み切れない)。

バラバラに流れていた時間が、再びひとつになる(同じ方向を向いて同じスピードで流れ始める)事が大事なのであって、キャンプ場開発はそのトリガーでしかありません。

散り散りになった仲間が何かを解決するために再結集するというのは鉄板中の鉄板展開(私の中での頂点は「パトレイバー2」)。

リンはヤマハビーノをおじいちゃんの愛車トライアンフ・スラクストン1200Rに乗り換え、なでしこはスズキジムニーを乗り回し、千秋は2代目グビ姉を継承できるほどの(タチの悪い)酒飲みになり、あおいの妹・チビ犬子は美大生に。


どれも成長を喜ぶべき変化ですが、ひとつだけかすかな痛みを伴う変化が。

それは恵那の飼い犬・ちくわが老犬となってしまった事。

ちくわの大活躍(?)が遠因となって中断を余儀なくされたキャンプ場開発計画。

それまでフルスロットルだった時間の流れが「凪」の状態に。

その凪の時間も前向きに捉えた各人の過ごし方。

ちくわとの散歩を楽しむ恵那。若い犬に余裕で追い越されても気にしない。

『うんうん。ゆっくり行こうねー』


なでしこはリンを誘って日本最高所の野天風呂へ。


この凪の時間が「溜め」となって次の行動に。

あおいの時間にも立ち止まりの時が。

『嘘やでえ』

まさかこの一言に泣かされる日が来ようとは…。

ゆるキャン△」は3期の制作発表が。楽しみです。

止まる事の無い時間の流れに圧倒されると言えばもうひとつ。

「映画 Dr.コトー診療所(の予告編)」(2022年/中江功監督)

16年ぶりの続編。ただ見ていない知らされていないだけで志木那島には変わる事の無い悠久の16年が流れていました。その空白を一瞬で埋める予告編。

www.youtube.com

あのイントロが流れるだけで泣けてしまう。もうパブロフの犬


公開は2022年12月16日(金)。



 

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★本日11月7日は寺田農(1942~)の誕生日(おめでとうございます!)

つい先日も「仮面ライダーBLACK SUN」で麻生太郎クリソツな幹事長を演じておりました。

今回はこの2本立てで。

★本日のTV放送【18:54~BSテレ東/シネマクラッシュ】