赤い窓と青い部屋。脈絡無く繋がるショック・シーンのつるべ打ち。指も折れよと弾き倒すキース・エマーソン・・。
アルジェントに求める全てがここにあります。
「インフェルノ」(1980年/ダリオ・アルジェント監督)
レビューの順番が逆になってしまいましたが、「サスペリア」「サスペリア・テルザ」に挟まれた魔女(三母神)3部作の第2章です。
舞台はニューヨークとローマ。この人が主人公か?と思えば殺され、じゃこの人が主人公かと思えばまた殺され、この人が黒幕かと思ったらやっぱり殺され、なかなかに予断を許しません(笑)。
アルジェントは「サスペリア」の主人公達を小学生くらいの子供にしたかったようですが、諸般の事情(?)で叶わず、その名残がやたらでっかいドア(相対的に女の子を小さく見せる)だったりした訳ですが、その感覚はここでも健在。
魔女の住むアパート(ニューヨーク)、三母神に関する古文書のある図書館(ローマ)の周りに漂う甘い匂いは、“お菓子の城”のイメージでしょう。
童話に魔女はつきものですし。
子供は好奇心で動きますが、夜中にアパートの地下室に入ってはいけません。
そこに大きな水溜り(水没した更なる地下室に繋がっている)があっても覗き込んではいけません。
そこに部屋の鍵を落としてしまったとしても、潜ってみようなんて考えてはいけません。
猫殺しオヤジにドブネズミの大群、駆けつけたホットドッグ屋のオヤジが・・のシーンは痺れましたね。ストーリー的に全く意味が無いという所がまた・・。
ローマの学校で猫を抱いていた謎の女・・あれが“涙の母”なんでしょうね。確かに「サスペリア・テルザ」に出てきた涙の母とイメージが似ています。
辻褄とか理由とか意味という単語を全部忘れてアルジェント・ワールドに浸りましょう。
※関連:「冥土へ行きな!サスペリア・テルザ/最後の魔女」→2010年7月9日