デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

青輝き、朱滴る。 サスペリア[Blu-ray]

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20周年記念版(6万セット限定シリアルナンバー入り3枚組。THX仕様)が、DVDとしてはかなり頑張った画質だったので、Blu-ray購入には二の足を踏んでいたのですが、先のロンドン・オリンピックに於けるロシア・シンクロ金メダル演技を見たら、やはり最高の画質と音質で手元に置きたくなりました。

シャープでキリっというのではなく、しっとりと落ち着いた柔らかい画質。

月夜が青く照り返り、朱が妖しく滴る。

 

サスペリアBlu-ray]」

(1977年/ダリオ・アルジェント監督)


意味も無くドアップになる排水溝、肋骨無視して剥き出しになる心臓、バレエ学校の授業初日に手ぶらで来る主人公、ナイフという物理的な殺し方をする魔女(の手下の男)。

全編に渡って不自然な所、物理的に説明のつかない絵柄、意味不明な描写が炸裂していますが、それがどうしたと言うのですか。

撮りたいものを撮りたい構図と色と撮る。何故、突然照明が緑になるのか? 緑で撮りたかったからですよ、アルジェントが。繋ぎの合理的整合性なんか狂った作家性の前では作品を矮小化させるだけの枝葉末節です。

どんだけ金掛けたんだよ、な学校とアパートのセット、原色に塗り分けられた壁、個性ありすぎな壁紙、通路の先で1枚だけたなびいているカーテン、タナー教官が廊下を歩いてくるロングショットのアングルと間、スージーとサラの立ち泳ぎを俯瞰で捉えた艶かしいカット、蛆虫を踏み潰して歩く靴のクローズアップな横移動、そして全編に響き渡るゴブリン・サウンド

何もかもが素晴らしい。

ホラー映画の場合、画質が良くなり過ぎると元々あった雰囲気を壊してしまうケースがありますが(「悪魔のいけにえ」や「死霊のはらわた」など)、本作は高画質化が作品のグレードを1枚も2枚も押し上げています(早く4K環境整えて究極版を堪能したい…)。

現在リメイク企画進行中ですが、無理よ。頭のネジ2~3本吹き飛んだ人でないと。この奇跡を再現するのは。

 

★で、リメイクの結果は… 


おまけ-------------------------------------------------------------

英国TOTALFILMに「ダリオ・アルジェントが君の質問に答えちゃうぞ」というページがありました。

「好きなホラーは?」「セルフリメイクしたい作品は?」「アーシアをどう評価する?」「メインストリーム・ホラーは好き?」「またロメロと組む気ある?」などの質問にダリオが答えています。

※気になる人はこちらへ→http://www.totalfilm.com/features/dario-argento-answers-your-questions