やっと見つけました。日本ヘラルドの国内版VHS。
いやあ、噂に違わぬキ印満開の素敵な映画でした。
「アメリカン・ゴシック」(1986年/ジョン・ハフ監督)
シンシアは風呂場で子供うっかり溺死させちゃってテンパリ放題し放題。
夫と友人たちは気分転換にと彼女を連れてセスナでリゾート・バカンスに出発しますが、海の上でエンスト。仕方なく近くの島に不時着。無人島かと思いきや、一軒の家が。
何だ、この家は。テレビもラジオもない。まるで20年代だ。住人はガチガチのピューリタン老夫婦と子供たち・・子供?・・確かに服も言葉も子供だが、どう見てもOver50のおっさん・おばさんじゃないか。ヤバイぞ、ここ。
何だ、この若者達は。勝手に人の家にあがりこみ、食事の前にお祈りもせず、タバコは吸う、人類が月に行ったなどと大ボラ吹く、挙句の果てに結婚もしていないのにSEXだと・・許さん! 神の名の下に天誅を喰らわさねば!
家族を失った女が旅先でヒドイ目に会う、というプロットは「ディセント」とかと同じですね。
気の触れたキリスト教徒と知的障害児がモラル無き現代若者を殺しまくるという、誰に喧嘩売っているのか分からない全方位臨戦態勢がナイス。
同系列の「サランドラ」「クライモリ」は、“気の触れた障害者vs健常者”という図式を最後まで崩しませんでしたが、こちらは何と“全員狂った人”に。
しかも、更にその後もうひと波乱。夢に出そうな後味の悪さを残します。
これで老夫婦(旦那、ロッド・スタイガーっすよ。何考えて出演承諾したんでしょう)のバッグ・グラウンド(何があって、この島へ。そして、この子供たちは・・)に関する言及があれば、話に更なる深みと厚みが出たと思うのですが・・。
※写真下はグランド・ウッドが1930年に製作した絵画。タイトルは「American Gothic」。