デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

ジメっと爽快・・。 帝都大戦

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あらゆる説明を排除した“投げっぱなし演出”の前作「帝都物語」は善くも悪しくも百花繚乱。実相寺の作家性だけは華麗に際立った野心作(失敗作とも言う)でしたが・・。

続編のこの閉塞感・根暗感、辛気臭さは何事でしょう?

帝都大戦」(1989年/一瀬隆重監督)

大戦末期。進退窮まった戦局を打開するため、遂に日本は霊的国防を発動。

僧侶の思念を電波増幅して連合国リーダーを呪殺するという荒業です。

こんな事のできる人間は丹波哲郎をおいて他ありません(笑)。

帝都破壊の為にこれを阻止せんと立ち塞がる魔人・加藤保憲嶋田久作)。迎え撃つ超能力青年・中村雄昂(加藤雅也-当時は本名の昌也-)。

ここに前作で少女だった辰宮雪子(南果歩)が絡むのですが・・。

何でしょう、この「君の名は」のような古色蒼然さは。NHK朝の連続テレビ小説のようなスケール感の無さは。

爆発、ワイヤー、サイキック・ウォーズとやっている事は派手派手なのに・・。

ただ、決してこの雰囲気、嫌いでじゃないんですよ。もうちっと脚本が練られてさえいれば・・。

東京大空襲焼夷弾(集束焼夷弾E46)の形状は結構正確に見えました(ちゃんとリボンも付いていたし)。ただ、一発の燃焼範囲ってあんなもんなんでしょうか。

あと、騒乱時に親の言う事聞かないで勝手な行動をとる子供が大嫌いなので、あの少女のシーンは(全編に渡って)まるまるいりません。

加藤が復活した理由はこじつけ以下で全く意味不明。

一番「?」だったのは、雪子が将門の霊力で加藤を退けようとする所。

おいおい、そもそも将門は中央に纏ろわず成敗された怨霊たちのリーダーだろ。前作でも加藤は将門を目覚めさせる事で帝都破壊を実現しようとしていたのに、その将門叩き起こしてどうするよ。

役者の華の無さ、キャラ立ちの悪さも暗さの一因。草薙幸二郎、高橋長英クラスが台詞噛み倒し。本当にOKテイクなのか。

頭からコードずるずる引きずって全霊力開放、命がけの一発勝負を挑む加藤昌也の悲壮感はなかなかにかっちょ良かったですが。

ひねりの効いたオチは良かった(こういう原作改変は歓迎)だけに“惜しい”感倍増。

あと少し寝かしておけば、Jホラーの産みの親・一瀬隆重唯一の監督作(81年の自主8mmを除く)という事でカルト化するかもしれません(無理か)。

※関連:「我(監督)を崇めよ。 帝都物語」→2009年4月12日