デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

ロブ・ゾンビ版「破」。 ハロウィンⅡ[劇場公開版]

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10月31日となれば、やはりこれをレビューしないわけにはいきません。

マイケルの幼年期をねっちょりと描きつつも、オリジナル版に沿った展開を見せた前作から大鉈振るう路線変更。

正に新劇場版「破」、ロブ・ゾンビ仕様です。

「ハロウィンⅡ[劇場公開版]」(2009年/ロブ・ゾンビ監督)

今回、マイケル自身の神秘性はゼロ。ブギーマンでもなんでもなくただの人殺しです。

オリジナルでは一撃で相手を壁に縫い付ける芸術性を披露しておりましたが、ゾンビ版は力任せにメッタ刺し。しかも包丁振り下ろすたびに「ふん!」という掛け声が入るので生理的に嫌ぁな印象が残ります。

この生々しいにも程があるマイケルの蛮行を中和 (?)しているのが、前作で自殺した母(シェリ・ムーン・ゾンビ)の幻想。

満月背負って母を見つめるマイケルのシルエットは古典的怪奇映画のような美しさ。

白いドレスに身を包み、白馬を引き連れて月光の中に浮かび上がる母に導かれ、家族再生の殺人行脚(キャッチ・コピーは「FAMILY IS FOREVER」)。

求めるは勿論、血を分けた妹ローリー(スカウト・テイラー=コンプトン)。

前作ではラストにちょこっと活躍しただけで、限りなく存在感ゼロだったローリーですが、今回は違います。

血縁としてマイケルとシンクロしたために精神汚染され、坂道を転げ落ちるように壊れていく崩れ役(?)です。

更に、オリジナルでは正義の味方だったドクター・ルーミスが売名と金儲けに執着する超小物に大変身(ドナルド・プレザンスのファンは憤死するだろうな・・)。

三者三様のイメージ・チェンジをどう捉えるかは評価の分かれる所ですが、同じもの作っても仕方がないので、これはこれでアリでしょう。

「デビルズ・リジェクト」でもゾンビのキャスティング・センスは光りまくっておりましたが、マニアックな人選は今回も健在。

中でも心を病んだローリーのカウンセリング・ドクターにリアル崩れ女優をもってきたあたり拍手喝采ですが、そこいらへんの話は次回。

※参考:「デビルズ・リジェクト」→2008年6月12日
    「ロブ・ゾンビ版ハロウィン」→2009年3月15日