ロブ・ゾンビ作品の見所のひとつに“配役の妙”がありますが、今回もグッとくるキャスティングで魅せてくれます。
なんと言っても筆頭は精神を病んだローリーの主治医に扮したマーゴット・キダー。
躁鬱から被害妄想系統合失調症となり、役者人生の大半を棒に振った彼女を精神科医にするとは(日本で言えば中島らもとか竹脇無我とか華原朋美とか根津甚八とか中森明菜ですよ)。
そして前回からの続投になりますが、ブランケット保安官(ブラッド・ドゥーリフ!)の娘アニー役のダニエル・ハリス。
かつてローリー・ストロードの忘れ形見(つまりマイケルの姪)として叔父マイケルに追い回された少女が、大人になってバック・トゥ・ホーム。
「アンレイテッド・バージョン」では、この二人の出番が増え、ローリーが壊れていく過程がじっくり描かれています(前作「アンレイテッド」でも、少年マイケルが闇に捕らわれていく過程が丁寧に描かれておりました)。
アンレイテッドはラストに至る展開が劇場公開版と若干(いやかなり)異なり、意見の分かれ目となっておりますが、正直これは「う~む・・」。
劇場公開版も警察の態度がかなり疑問でしたが、これは更に「?」(ってかあり得ない)。
マイケルに関しても掟破り禁じ手崩しな描写が二度三度(自らマスクを取る、素顔を晒す、喋る・・)。いくらルール無用のリメイクとは言え、これはやり過ぎ。
途中まではアンレイテッド、ラストは劇場公開版という組み合わせがベストなのですが、そういう編集はないの、ハピネットさん?(あるわけねえよなあ)
褒めた後でなんですが、キャスティングに関する文句をひとつだけ。
少年マイケルがツルンとしたフツーの美少年になってしまったのにはちとがっかり。
前作のダエグ・フェアークが成長してしまい続投不能だったのは致し方ないとして、もうちっと影のある子役はいなかったのでしょうか? 何不自由なく育った真っ直ぐなお坊ちゃまにしか見えません。
作品のキモとなる人選だけに残念至極。
※参考:「マーゴット・キダー、破滅の片鱗。悪魔のシスター」
→2010年6月17日
「血縁のテロリスト再び。ハロウィン4」
→2010年9月22日