デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

梅宮辰夫に学ぶアナーキーの極意。 実録 私設銀座警察

イメージ 1どこから手をつけたものか・・。

深作の実録路線を塗り替えようという意欲と気概が滾り迸り時代考証なんか知った事かとばかりに突っ走る混沌一大絵巻です。

「実録 私設銀座警察」(1973年/佐藤純弥監督)

終戦直後、新橋の闇市で出会い、銀座警察と呼ばれる暴力同盟を形成する葉山良二、安藤昇(!)、梅宮辰夫らのお話が縦軸ですが、裏主人公は渡瀬恒彦

復員直後、恋女房が米兵相手に身体を売って、黒人の赤ん坊まで産んでいた事を知った渡瀬は瞬間核融合炉と化して、赤ん坊をドブ溜りに頭からスローイン、女房の顔面をコンクリートブロックで滅多打ち。

この時のトラウマから全く関係のない黒人米兵を発作的に切りつけてMPに追われ、逃げ込んだ先が銀座警察のアジトだったのが運の尽き。

「何しけた面してんだ。よおし、ヒロポンを打ってやろう」

垂直落下式中毒患者となった渡瀬はヒロポン欲しさに葉山の命ずるまま敵対組織をマトにかける殺人マシンに(「広島死闘篇」の北大路欣也を10倍陰惨にした役どころですね)。

更に特筆すべきはその不死身性。ドスの雨降らされた挙句生き埋めにされて、ダメ押しに銃弾の雨まで降らされたのに、ゾンビの如く地中から這い出し、ヒロポン打ってまた殺し・・。

もはや人間ではありません。で、この暗さの対極にいるのが、アッパー一代・梅宮辰夫

強制捜査・逮捕が時間の問題と知るや否や、「これは組の再建資金だ!」とほざく葉山を殴り倒して札束鷲掴み。

「こうなったらよ、死ぬ程ヤリまくって、腹のぶったぎれるまで飲んで、喰って、歌って、踊って、なあ、皆! どうせ俺たちゃよう、そこいらへんの野郎が腹空かせてひいこら言ってる時にいい思いしたんじゃねえか! だったらジタバタしねえでよ、最後の仕上げに騒ごうって事よ! どうせこんなもんはなぁ、4~5年経ちゃ紙屑同然よ!」

娑婆の見納めとばかり札びら撒いて芸者押し倒して酒池肉林。

「金ならいくらでもあるで! 俺たちに明日はねえんだ!」

何とアナーキーな名台詞。生き方のお手本として深く心に刻みたいと思います。