派手な爆発も、横っ跳び二丁拳銃もありません。
プロで寡黙で腕利きで、熱い友情に貫かれ、強い信頼で結ばれた5人の“男”の物語。
「ザ・ミッション/非情の掟」
(1999年/ジョニー・トー監督)
(1999年/ジョニー・トー監督)
何者かの襲撃を受けた黒社会のボス、ブン(大竹まこと似)。護衛のため集められた5人の男。
リーダーはアンソニー・ウォン(ほぼ宍戸錠)。調達屋にラム・シュー。
ラム・シューに渡された銃をガシャガシャと稼働させ「スプリングが甘い」と突き返すロイ・チョン(高山善廣似)。
そして新顔のフランシス・ンとジャッキー・ロイ。
トーの美学が炸裂するのは中盤の銃撃戦(舞台は閉店間際のジャスコ)。
ロイ・チョンが後方確保(写真下)。ラム・シューがボスを守り、残りの3人は各々柱を背にして全方位をカバー(写真上)。
ひとたびフォーメーションが固まったらあとは微動だにせず、構えも崩さず、ただひたすら撃つべし撃つべし。
ロイ・チョンは後半でもライフル狙撃者相手に、逃げも隠れもしない真正面仁王立ち射撃という痺れる戦いを見せてくれます。
しかし、本作の素晴らしい所は、本筋に見える護衛話が実は枕で、本題は彼らの信頼と友情が試される終盤のエピソードにあるという所。
無駄な台詞を極力排した構成は最早様式美。テーマ曲は脳内リフレイン必至の名曲。
日本公開用に勝手に付け足された過剰に饒舌な字幕が実に蛇足ではありますが、香港ノワールの傑作だと思います。