デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

何ゆえこれが未公開? ファイヤーライン

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しみったれた恋愛感情なんぞ入り込む余地の無い侠のドラマ。

「ファイヤーライン[十萬火急]」

(1996年/ジョニー・トー監督)

 

それまで愛だ恋だお笑いだの映画ばかり撮っていたトー監督が「男の生き様」作家にシフトするきっかけとなった記念作。

縁起の悪い署“悪運部隊”と陰口を叩かれている慈雲山消防署レスキュー部隊。

常に全力救出な熱いチーフ、かつてその熱さで失敗した事があるらしい新署長、二人の葛藤を軸に各隊員の公私がさりげなく語られていきます(いい話多し)。

そして後半、繊維工場が大火災。どこを使ったのか知りませんが、建物に火を放ち、本物の火災の中にスタント無しで役者投げ込む鬼演出。

燃料の爆発によって退路を絶たれ孤立無援、前にメタンガス、後に紅蓮の大炎竜。酸素ボンベの残りはあと僅か。そして目の前のエレベーターからは助けを呼ぶか細い声が・・。

いいなぁと思うのは「死なないで」「俺が犠牲に」みたいな安いお涙頂戴が微塵も無いところ。「全員生きて戻る!」この力強さに涙が出ます。

ほんの一瞬、当時まだ裏方だったラム・シューが放火犯役で顔を出してますが、役者じゃないのにオーラ出まくり。

未公開は惜しいなあ。