『神を心に宿す者はそれだけで豊かになれる』
(A man can be rich, if he has God in his heart.)
『神様は私に興味なんかありませんよ、神父』
(I don't think God is very interested in me, Father.)
イタリアの片田舎。引退を考えている裏社会の男。ここでは彼は異邦人。
「ラスト・ターゲット」
(2010年/アントン・コルベイン監督)
タイトルだけ見ると「伝説のスナイパーが最後の大仕事」みたいな内容を想像しちゃいますが、全然違います。
原題は「THE AMERICAN」。
何故か的にかけられた裏社会に生きるアメリカ人が身を潜めたイタリアの片田舎で過ごす数日間を描く(よく言えば)ハードボイルド映画です。
スウェーデンの雪原に女としけこんでいる時に何者かの襲撃を受けたジャック(ジョージ・クルーニー)。
瞬時に狙撃者返り討ち。自分がまっとうな人間でない事を悟った女を背中から射殺。狙撃者の相棒もぶち転がして車奪取。そのままローマへ。
相棒なのか上司なのか雇い主なのか中継ぎ人なのかよく分からないパヴェルの指示で田舎町カステルヴェッキオに身を隠す事に。
カステルヴェッキオ(CASTELVECCHIO)があまりにしみったれた町だったので、黙ってカステルデルモンテ(CASTEL DEL MONTE)に目的地変更するのが本作唯一の笑いどころ。
風光明媚ないい所です、カステルデルモンテ。
ここに風景カメラマンとして滞在。知り合いも友達も作るなと言われているのに、神父と交流、娼婦と昵懇。学習しろよ、クルーニー。
因みに娼婦役のヴィオランテ・プラシドは「ゴッドファーザー」でアポロニア演ったシモネッタ・ステファネッリの娘さんだそうで。
左2枚がお母ちゃん、右側2枚が娘。
社員を遊ばせておくわけにもいかないのか、隠遁ジャックの元に仕事の依頼。と言っても仕事内容は殺しではなく…。
どうやら彼の本業はガンスミスだったようです。
目的に合わせて銃を調達、改造、メンテナンス。
射程150-175m、標的は一人、速射、弾倉は5.56mm弾が多めに入るサイズ、軽くコンパクトに、スプレッサー付きで。
ジャックの選んだ銃はルガーMini-14。こいつをベースにあれやこれやとカスタマイズ。
銃の分解・組み立て・改造に興味のある人はここいら辺のシークエンスだけでグッと来ちゃうかもしれません。
逆にここいら辺に関心の無い人にとってはとてつもなく退屈な105分。
映像は綺麗です。WINDOWSを立ち上げると勝手に送られて来る風景画像、あれが次々現れる感じ。時折挿入される俯瞰カメラには息を飲みます。
ただ、お話の背景部分が全く語られないので入り込む余地がほとんどありません。
ジャックの属する組織、仕事、狙われる訳、まるっとすべてがマクガフィン。
あとジョージ・クルーニー。この人「俺が、ジョージ・クルーニーだ!」っていうガネーシャみたいな役ならOKなのですが、こういう匿名希望な役だと「でもジョージ・クルーニーじゃん」になってしまって虚構の枠を超えられません。
できれば名の知られていない役者さん、有名どころでももちっと地味な人(誰だろう?クライヴ・オーウェンとか?)ならハードボイルド感が際立ったかもしれません。
おまけ
バーのモニターに映っていたのは「ウェスタン」。流れる曲はMan With A Harmonica。ご丁寧なことに店の主人に「セルジオ・レオーネ、イタリアの監督だ」とまで言わせています。欲しかったんでしょうか…モリコーネの音楽が。
★ご参考
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★本日7月23日はウディ・ハレルソンの誕生日(おめでとうございます!)
ウディと言えば何はなくともこの2本。
※ウディの出番は僅かですが、ついでなのでこちらも。