デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

戦争王に俺はなる! ロード・オブ・ウォー

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『今、世界には5億5000万丁の銃がある。ざっと12人に1丁の計算だ。問題はひとつ。どうやって残り11人に銃を渡す?』

 There are over 550 million firearms in worldwide circulation. 
 That's one firearm for every twelve people on the planet. 
 The only question is: How do we arm the other 11?

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武器商人は死の商人…などではなく、鼻が利いて口が立つセールスマンでした。

ロード・オブ・ウォー

(2005年/アンドリュー・ニコル監督)

 

ロードはROADではなくLORD。サブ邦題は「史上最強の武器商人と呼ばれた男」。

ユーリ・オルロフ(ニコラス・ケイジ)は、ウクライナからユダヤ人を装ってアメリカに移民してきた4人家族の長男。

住処としたリトルオデッサ(ニューヨーク・ブルックリン区のブライトン・ビーチの通称)は今日も銃弾飛び交うトラブルの町。

飲食店だって銃は必要。なら、その銃が俺の銃だっていいじゃないか。

という天啓に打たれたユーリは武器商人の道を歩みだします。

やってみたらこれが天職。でもB to Cじゃ儲からない。がっつり稼ぐならB to Bだ。

80年代から紛争巡礼をテンポ良く。2時間があっという間。

とっつきにくい世界のハードルを一気に押し下げているのが音楽。

いかにも「ゴッドファーザー」風なリトルオデッサの音楽に始まり、「ワルキューレ」「コカイン」「(ドリュー・バリモアも大好き)マネー」「ヤング・アメリカンズ」「白鳥の湖」など『そこまでミーハーにせんでも』な選曲が、いい感じにお話を“流して”行きます。

契機となったのは東西冷戦の終了。東側にあるのは給料ストップの軍隊と使い道のなくなった武器弾薬の山。

しかも武器倉庫の管理人はウクライナの親戚と来た。これは勝負だ。

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ニコラス・ケイジって仕事選んでない感半端ない人ですが、どの作品にもちゃんと嵌って違和感がありません。

ジョージ・クルーニーが何に出てもジョージ・クルーニーなのとは大違いです。

ゼロから始めるディーラー生活。ヤバイ軍事政権とお友達になり、インターポールにつきっきりで見守られ(?)。

インターポール手配の軍用機に撃ち落とされそうになったユーリは路面に強硬着陸。目一杯積み込んでいた武器弾薬を現地人に無料開放。イナゴの大群のように持ち去って僅か10分で証拠隠滅(その後、輸送機自体も解体されて持ち去られますが…)。

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のし上がって家庭作って…いかにも「スカーフェイス」な(もしくは「F.I.S.T.」な)オチが待っていそうな展開ですが、そうならないのはニコラス・ケイジのお人柄って奴でしょう。

『地球を受け継ぐのは誰だと思う? 武器商人さ。他は殺し合いで忙しいから。生き残る秘訣は戦争に行かないこと。特に自分からは…』

 You know who's going to inherit the Earth? Arms dealers. 
 Because everyone else is too busy killing each other. 
 That's the secret to survival. Never go to war. 
 Especially with yourself.


なんてうそぶいて見せますが、最後の最後に作り手が言いたかった本音が…。

嗚呼、これは現代版「殺人狂時代」だったのか。

あれもブラックな笑いに包んでおいて、最後に言いたい事言ってたなあ。

ユーリの弟・ヴィタリーにジャレッド・レト、ユーリ逮捕に執念を燃やすインターポール捜査官ジャック・バレンタインにイーサン・ホーク、商売敵シメオン・ワイズにイアン・ホルムと周りも豪華。見応えのある作品でした。

 

★ご参考 

 

 

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★本日10月30日はクロード・ルルーシュ監督(1937~)の誕生日(おめでとうございます!)。

フランス映画は正直、相性が今ひとつふたつみっつなのですが、これだけは別格。 


★そして今日は「ニュースパニックデー・宇宙戦争の日」でもあります。

1938年のこの日、アメリカ・CBCラジオオーソン・ウェルズ演出のSFドラマ『宇宙戦争』が放送されました。「火星人が攻めてきた」という臨時ニュースが本物のニュースと勘違いされ、120万人以上が大パニックになった、という有名なあの日です。
そう言えば最近、宇宙戦争を小ネタにしたアニメがありましたね。