ここは英国、片田舎。「お隣まで何キロ?」な感じでポツンと佇む牧場。
夜の静寂(しじま)を縫って集まった老若男女7名。それは50年に一度の代表者会議。
議題はシマの再配分と規律に背いた者の粛清。
…と書くとヤクザかマフィアの会合みたいですが、違います。
彼らは永遠を生きる種族、ヴァンパイアなのでした。
「英国特殊空挺部隊 オペレーションV」
(2017年/ジェイソン・フレミング監督)
タイトル詐欺です(笑)。
本格的ミリタリーアクションを期待すると痛い目見ます。
オペレーションVの「V」がVampireのVと気づけば一歩前進ですが「ミリタリー・ホラー」でもありません。
実態は笑えるようで笑えない(微笑ましくはある)オフビートなホラー・アクション・コメディでした。
監督は本業・役者(本作が初監督作)。「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」とかが有名ですが、わたし的にはロメロの「URAMI~怨み~」の主役張った人(微妙に褒めていませんね)。
★まぁこんな☟作品ですわ。
さて、お話に戻って。
吸血鬼と言っていますが、血を吸うというよりは人を喰う生き物のようで、どちらかと言うとグール(喰種)に近い存在。
捕食に関してはルールがあるようで、喰い過ぎはご法度。そして絶対に許されないのは「子供を喰らう」こと。
違反者は粛清。ここで地区代表者の椅子にひとつ空きが。
遅れて到着したエルヴァイラ風お姉さまヴァネッサ(イヴ・マイルズ)が連れて(釣って?)来たチャラい若者セバスチャン(ビリー・クック)はこの空いた椅子の後任候補。
問題はセバスチャンが事情を何も理解していない事と、この牧場がバチカンの命を受けた英国特殊部隊に包囲されている事。
全編、この牧場小屋に籠城する吸血鬼と特殊部隊の攻防戦…ってよく考えたら逆「地球最後の男」(もしくは逆「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」)な展開ですね(金掛かってねー!)。
特殊部隊のリーダーがキレ者なのかマヌケなのか判断つきがたく、風貌がどことなくモンティ・パイソンのジョン・クリーズに似ている事もあって、空気ゆるゆる。
ド派手なアクションもグログロなスプラッター描写もありませんが、見どころはあります。
突撃かました特殊部隊第1班(当然返り討ち)の武器を鹵獲する吸血鬼。
『誰かこれ使える?』と掲げたのはH&KのG36C(だと思う。多分)。
最年長のお婆ちゃんが『家にあるわ』
結構新しい銃すよ、G36C。お婆ちゃんのご自宅では未だVHSが絶賛稼働中のようですが、何故最新鋭サブマシンガンがお家に?
で颯爽とG36C抱えたお婆ちゃんが啖呵切って大乱射。
『これでも喰らえ、虫けらども!』
Eat this, you sons of bitches!
ちょっと「ロンドンゾンビ紀行」な趣き(笑)。
推しは吸血鬼グループの用心棒的存在、チェン(ルカズ・レオン)。
近年のスター・ウォーズシリーズ(「ローグ・ワン」「最後のジェダイ」「ハン・ソロ」「スカイウォーカーの夜明け」など)でstunt performerとクレジットされている人で素顔出すのは多分今作が初めて。
終盤、特殊部隊4人を銃とナイフと格闘技で流れるように屠っていく様を1カットで収めるという見せ場を作っています。
邦題に釣られず妙な期待をしなければ(少なくとも「ヒルズ・ハブ・アイズ2」よりは)十分楽しめます。
★ご参考
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★本日のTV放送【13:00~BSプレミアム/プレミアムシネマ】
※完全版/4Kレストア版の放送だそうです。