よく“不死身の刑事”なんて物言いをしますが、真に不死身な刑事は二人しかいません。
マニアック・コップとゾンビ・コップです。
「ゾンビ・コップ」(1988年/マーク・ゴールドブラッド監督)
ロジャー(トリート・ウィリアムズ)とダグ(ジョー・ピスコポ)はLAPDの刑事さん。
今日も朝っぱらから宝石強盗と大銃撃戦。
ところがこいつらいくら弾喰らっても死なないどころか倒れもしない。ようやっと自動車ぶち当てて静かにさせましたが、一番驚いたのは検死官。
『胸に電ノコで斬った痕があるでしょ。これ、こないだあたしが解剖した死体よ』
死体蘇生の謎を追った二人はダンテ製薬にたどり着きますが、ここでロジャーが殉職。
しかし! ダンテ製薬にあった謎の蘇生装置で復活! したものの生存時間はもってあと6時間。
急速に腐敗していく体を引きずってゾンビ・コップの復讐が始まった!
映画として出来が悪いのは認めます。脚本もいい加減だし繋ぎも悪い。
でもね、んなこたぁどーだっていいんですよ。
蜂の巣にされても決して死なないが、体は確実に腐っていく主人公。
中華屋の調理室で死体蘇生光線(?)を浴びて蘇り、刑事に襲い掛かる焼き豚、北京ダック、背開きされた冷凍牛のグロテスクな美しさ。
ゾンビ同士が至近距離で正面からマシンガンを撃ち続け、でもゾンビだからどっちも死なない凄惨かつ滑稽な戦い。
終盤、相棒ダグもゾンビ化し、あと数時間で揃ってあの世行きというシリアスな状況で交わされる「生まれ変わったら何になりたい?」「うーん、女の子の自転車のサドルかな」という偏差値貧乏にも程がある脳タリンな会話(しかも〆は何故かカサブランカ)。
何もかもが素晴らしい。
演っているのがメル・ギブソンになり損ねたB級バカ一代トリート・ウィリアムスと、ジャン・クロード・ヴァン・ダムになり損ねた筋肉バカ一代ジョー・ピスコポ(何だこの風呂で屁ぇこいたような名前)ってのがまた・・。
名作でも佳作でもないですが、間違いなく怪作ではあります。
★ご参考