軽いつもりがハード・ゴア。 ゾンビ処刑人
ゾンビが悪人退治のヒーローに…。
軽いノリのホラー・コメディのはずが、いつしかハード・ゴアなシリアス路線へ。
こういう振れ幅の大きさを余裕で許容してしまうのが“ゾンビ”というジャンルの懐深さです。
「ゾンビ処刑人」(2009年/ケリー・プリオー監督)
イラクに派兵され死体になって帰還したバート(デヴィッド・アンダース)。
しかし、埋葬直後、ゾンビとなって復活。
意識有り、記憶有り、良心有り。ただ腐りかけなだけであとは以前のまま。
玉に瑕なのは、普通の食事は受け付けず(口にすると盛大に吐血)、人間の生血でしか命を繋げないヴァンパイア系ゾンビだって事(活動は夜だけ。昼間は息も脈も止めて死ぬ)。
親友ジョーイ(クリス・ワイルド)と病院から輸血用血液を強奪したりしますが、これにも限度が…と悩んでいる時に運悪く(?)襲ってきた強盗を返り討ち。
折角だから(血を)吸っとくか?…いや、ちょっと待て。悪人を成敗して血を吸えば一石二鳥じゃね?
という訳で二人は夜な夜な悪党退治と吸血に精を出し…正に「ゾンビ・コップ」+「処刑人」。看板に偽り無し。
が、しかし。ジョーイもゾンビ化する中盤以降は一転、ハード・ゴアに面舵一杯。
普通は殺さねぇだろ、なキャラまでバカスカ殺し、警官のサブマシンガンが景気良く一般市民を巻き添えにして、あっという間に死体の山。
バイブにあんな使い道があったとは…。
因みに原題は「THE REVENANT」。辞書によれば、“長い不在の後に戻る人”“死から蘇えった人”。イラクからの帰国と黄泉からの帰還を掛けているナイスなタイトルです。
ラストのオチのつけ方がちと気に入りませんが、最近観たゾンビものの中では出色の出来だと思います。
※参考:「蜂の巣にされても死なない。でも腐る。 ゾンビ・コップ」
→2011年3月25日