笑いと恐怖とアクションの絶妙なブレンド。前作ではもっさりもさもさしていた演出にキレが。
腕を上げたじゃないか、ブライアン・ユズナ。
「RE-ANIMATOR 死霊のしたたり3」
(2003年/ブライアン・ユズナ監督)
今回の舞台は刑務所。死体蘇生師ハーバート・ウェスト君(ジェフリー・コムズ)も収監13年目。
囚人のくせに相変わらず態度が居丈高でいい感じ。
この刑務所の診療所に新任の医者が。なぜか彼は自分の助手にハーバートを指名。
彼は13年前、ハーバートが蘇生させた死体に惨殺された女性の弟。姉の惨殺現場を目撃して以来、ハーバートの研究の虜になり、彼に会うために医者になり刑務所勤務を願い出た変態ストーカーだったのだ!
姉の復讐ではなく心酔して、という所がいいじゃないですか。
二人は秘密の実験室を作り、心臓発作で死んだ囚人を蘇生(でもゾンビ化)させたりしてせっせと研究に励んでおりました(微笑ましい話だ)。
ある日、刑務所所長が、美人女性記者ローラを勢いで絞め殺しちゃうというよくある事件が。
ローラを人として蘇生させるには、人間から摂取したナノプラズマが必要。じゃ所長から貰おうか、とハーバート君、所長殴って実験台に。
無事ローラは復活。ついでにネズミから採ったナノプラズマを投与されて所長も復活。
そんな折、刑務所内で暴動発生。蘇生薬を「新型覚醒剤」と勘違いしたヤク中囚人がこれを打ってズルっとゾンビ化。
かくして所内は、囚人とゾンビとSWATが入り乱れる修羅場劇場に。以前のユズナなら間違いなく破綻する展開ですが、これが奇跡のバランス感覚で失速無し。
肉体に変調を来たし「助けて」と懇願するローラを「実に興味深い」と眺めるハーバートの澄んだ瞳が素敵です。
エンド・クレジットの“ネズミ対チ●コ”は爆笑。
流石にこんな映像に“H.P.LOVECRAFT'S”って冠付けるのは気が引けたのか、今回はタイトルに原作者表記はありません(当然だよな)。
ジェフリー・コムズのハーバート・ウェスト。知る人ぞ知る役者と当り役なので、是非、続編に繋げてもらいたいものです。
※関連:「ZOMBIO 死霊のしたたり」→2008年1月2日
「死霊のしたたり2」→2010年6月29日
「フロム・ビヨンド」→2010年8月18日