光差し込まぬ漆黒の地下室。
そこかしこに穿たれた井戸の様な穴。
覗き込むとそこには実験の“失敗作”がうねうねと蠢き。
そして、部屋の中を徘徊する何者かの気配。
久しぶりに闇の世界の怖さを感じました。
「ヘルハザード/禁断の黙示録」
(1991年/ダン・オバノン監督)
原題は「The Resurrected」(蘇えった死者)。原作はラヴクラフトの「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」。何をどう間違えるとこのような邦題になるのでしょう。
謎の実験に没頭するチャールズ・ウォード(クリス・サランドン)を案じた妻クレア(ジェーン・シベット)の依頼によりウォードの身辺調査を始めた私立探偵マーチ(ジョン・テリー)。
彼が突き止めた驚愕の事実とは・・。
舞台を現代に移し、老医師の役回りを私立探偵に置き換えるなど細かい改変はありますが、原作のゴシックな雰囲気は良く出ていると思います。
ラヴクラフトものとしては、スチュアート・ゴードンの「DAGON」と並ぶ佳作ではないかと(ラヴクラフト“風”のベストなら、フルチ爺さんの「ビヨンド」とカーペンター翁の「マウス・オブ・マッドネス」になりますが)。
どれも一般人が“邪悪なる核心”に向かう所が共通点でしょうか。
ミステリとしては平板ですが、ベロベロのクリーチャーがいいアクセントになっています。遺骨が秘薬で復元する様はちょっと「ヘルレイザー」のズルズルの産声を思わせる荘厳さ。流石オバノン。
さあて、次のお楽しみはギレルモ・デル・トロ監督の「狂気山脈」・・と思っていたら、ユニバーサルが正式に製作中止を発表したそうです。期待していたのに・・残念!
※参考:「覗けば狂う妄執の迷宮。マウス・オブ・マッドネス」
→2010年5月15日
「ラブクラフトさんの墓石に一礼。フロム・ビヨンド」
→2010年8月18日
「イア!イア!クトゥルフ・フタグン! DAGON」
→2010年9月10日
「狂える詩人の死霊秘法。ネクロノミカン」
→2010年10月18日
「なんとエイボンの書が! ビヨンド」→2010年11月2日