デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

カーペンター×水木しげる。クトゥルフの符合。 地底の足音

イメージ 1 まずは左の写真をご覧ください。

似ていると思いません?

上は、水木しげる先生がラヴクラフト「ダンウィッチの怪」を翻案した「地底の足音」の貸本時代の表紙。

下は、ジョン・カーペンター先生がラヴクラフト的なものに挑戦した「マウス・オブ・マッドネス」で、作家サター・ケーンが発表した小説「In The Mouth Of Madness」の表紙。

月下、何か恐ろしいものから逃れようとしている男。背景を斜めに切り取った稜線。その上に佇む館。

見事にイメージの重なる2枚です。

「地底の足音」が発表されたのは昭和37年。貸本時代の作品ですし、読む機会はないだろうと思っておりましたが、何と文庫になっていました。

「魍魎 貸本・短編名作選 地獄・地底の足音」

ホーム社刊/水木しげる


舞台は鳥取。ダンウィッチは八つ目村、ミスカトニック大学鳥取大学ネクロノミコンは死霊回帰、ヨグ=ソトースはヨーグルト(!)という名称になっています。

インスマスを覆う影」の時も思いましたが、日本の田舎とラヴクラフトは相性が良いようです。翻案の違和感がありません。

勿論、水木先生にしか描けない独特の妖気があってこそですが。

カーペンターには、また「マウス・オブ・マッドネス」みたいな映画を撮って欲しいなぁ。