デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

メタルで読むラヴクラフト。 人間椅子/ダンウィッチの怪

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  ♪俺は大地と海洋の 
  近親婚の末息子 
  因襲めいた村の奥 
  夜鷹に言葉教わった。

漫画→画ニメと続いたラヴクラフト三題噺、最後のお題は“メタル”(一応、しりとりになっています)。

音楽界にもラヴクラフト崇拝者は多数いますが、何と言っても代表は人間椅子

7分26秒に及ぶ大作「ダンウィッチの怪」は、原作の持つ禍々しさ、おどろおどろしさ、そして甘美な退廃を描ききっています。

  ♪俺は人間まがいだが やるべきことは知っている 
  時空の裂け目呼び出して 宇宙を始原に帰すのだ。
  扉よ開け ヨグ=ソトホート。

このセンテンスだけで、原作の骨子をほぼ完璧に言い尽くしています。

  ♪お前の父で 兄弟で 至る所に奴はいる 
  迷信じみた森の中 土塁の蔭に門はある。
  お前の嘘は美しい 呪詛と愚昧に満ち溢れ 
  世を頽廃で覆う度 来るべき日へ進むのだ。

お分かりの通り、この歌の主役はウィルバー・ウェイトリーで、アーミテイジ教授は影も形もありません。

キャラの魅力を考えれば当然の選択です。

  ♪五十六億七千万 時の牢屋で待っていた 
  腐臭渦巻く廻廊で 支配者どもは待っていた。

ここで何気に弥勒の設定を持ってきているあたり巧いです。クトゥルー末法思想。必然の出会い。

  ♪闇にこぞりて 我が主来ませり 夜にまぎれて 我が主来ませり。
  まがまがしくも 我が主来ませり おぞましくも 我が主来ませり。

一気に畳み掛ける終盤はさながら彼らが敬愛するブラック・サバスの“War Pigs”や“Iron Man”、そして“Heaven and Hell”に通じる怒涛の展開。

日本語メタルを代表する名曲だと思います。

※凝った絵柄のPV(しっかり水木先生の「地底の足音」とかもコラージュしている)はこちら→http://www.youtube.com/watch?v=mE1ndqXbdUY