デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

折角の“和メコミ”を勿体無い…。 大日本人

イメージ 1

ごく少数の絶賛派(松本信者)と大多数の否定派に綺麗に分かれた前衛(?)作品。

私の中では“生涯スルーでいいや箱”の1本でしたが、ハリウッド・リメイクなんて話も沸いているようなので、後学の為に観賞させて頂きました。

大日本人(2007年/松本人志監督)


意外(?)にも、ボロクソ言う程悪くはありません。少なくともアイデアは良いです。

“獣(じゅう)”から日本を守る為、防衛庁の要請に応じて巨大化する一子相伝のヒーロー・大日本人(6代目・大佐藤/松本人志)の日常をテレビの取材カメラを通じて語る。

松本の演技力(無いです、ビタ1文)を考えれば、通常のコントの間で喋っていればいいテレビ取材という擬似POVは格好の逃げ道でしょう。

もし、松本が主演などせず、まともな演技の出来る役者を立てて監督業に徹していたら、かなり評価は変わってきたのではないかと思います。

庶民からダメ出しされているヒーローってのは「ハンコック」を思わせますし、日本しか守らないというのは「スーパーマン」から続くアメコミ・ヒーローの換骨奪胎。

調理法次第では“和メコミ”ヒーローが誕生したかもしれませんが、結局、テレビの間、コントの間(映画的なタメとは違う)を持ち込んだ為に、松本の自慰色が全面に迸って、一般人的感覚で言えば“気持ち悪い”出来になってしまいました。

賛否の分かれるラスト“舶来ヒーロー参戦の実写と関西弁コント”ですが、私は

折角の題材を照れ隠しのためにドブに棄てたようにしか見えません。

別にオチなんかいらないんですよ。最近のレビューで言えば、「ブラザー・フロム・アナザー・プラネット」みたいに“こんな日常が続いていく”的エンディングで十分じゃないですか。

ハリウッド・リメイク(本当なのか?)、期待して・・います。