素材だけは超豪華。
舞台は西部開拓時代。お尋ね者の凶悪犯、町を牛耳る権力者、市井の人々、そしてネイティブ、利害の異なる人々が協力して狂暴なエイリアンと対峙。
奪われた家族を、男の誇りを取り戻していく。
その中には人間体に姿を変えた美しき善玉エイリアンも。
諸手を挙げて喰いついて良い題材なのに、何でしょう、この冷めた感覚は。
オタク心の泉には波紋ひとつ、さざめきひとつ起きず、鏡のような静けさを湛え…。
「カウボーイ&エイリアン[ロング・バージョン]」
(2011年/ジョン・ファヴロー監督)
思うに、何もかもが豪華すぎる資金の潤沢さが全部裏目に出てしまったのではないでしょうか。
西部劇+SF系で思い出すものと言えば「トレマーズ4」「フロム・ダスク・ティル・ドーン3」とかですが、(ハリウッド映画に比べれば)金なんか全然掛かっていません。
金の無さをアイデアと心意気で補うのがジャンル映画ってもんです。
大スターの共演(ダニエル・クレイグ+ハリソン・フォード)、CG使いたい放題の特撮。
CGなんかに頼るから、あんなどーしようもない(バーバリアン裸族な)エイリアン造型になるんです。
もし、金が無ければ着ぐるみ、更に無ければ部分的装着、全然無ければ人間がそのままの姿で演じたでしょう。どれが一番知性的かと言えば、恐らく…。
宇宙怪人ゴーストのUバンドとプレデターの自爆装置を足しっぱなしにしたような武器は面白かったですが、使い方を間違えている気がします。
本作は「バッド・テイスト」のノリで作るべき題材です。
そこに、程よく名の知れたB級バイプレイヤーを一点豪華に投入すれば、それで十分だったのではないでしょうか。
ハリウッド・リメイクはよく聞く言葉ですが、本作に関してはセンスあるジャンル監督によるインディペンデント・リメイクを強く希望します。
※参考:「トレマーズ4」→2008年6月5日
「西部劇×吸血鬼。フロム・ダスク・ティル・ドーン3」
→2010年9月20日
「比類なき名コピー。バッド・テイスト」→2011年9月9日