デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

このフィナーレはアリだ。 必殺剣劇人・最終回

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「寄らば斬るぞ」「むふふ、馬鹿め」「おととい来やがれ」

コスプレ着用で見栄を斬り、正面突破で仕事を終えるとハリボテの大ガマと閃光で目をくらませてすたすたとトンズラ。

必殺15年の幕を引いたのは、およそ必殺らしくない古色蒼然としたチャンバラ活劇でした。

「必殺剣劇人・最終回/あばよ!」

(1987年9月25日放送/山根成之監督)


お話はひとつ前のシリーズに遡ります。

「必殺仕事人Ⅴ風雲竜虎編最終回/主水ひとりぼっち」
で主水らは大奥の権力者・三笠局を狙う大仕事を成功させますが、同じ夜に何者かが江戸城の御金蔵を破り1万両を強奪。


おかげで主水らは逃げるのに手間取り、仕事料を貰い損ね、メンバーは散り散りという憂き目に会うわけですが、この御金蔵破りが、本作の主役3名。

金には不自由しなくなった3人は、かつて3人が想いを寄せた女の娘(つまり父親は3人のうちの誰か)であるお七(工藤夕貴)の夢を叶えるため、悪人を成敗する世直し3人組「剣劇人」に。

最終回にはゲストで中村主水が登場。「中村さんのやり方は古い!」と言い垂れる3人組に仕事人の世代交代を嘆きつつ仲間に加わります。

ところが、江戸を直撃した大地震で出来た地割れに金と衣装を吸い込まれ、いつものコスプレが出来なくなった3人は何と歴代必殺有名人オマージュを披露。

早縄の清次(田中健)は飾り職人コスプレで秀(三田村邦彦)をコピー(ご丁寧にBGMは「思い出の糸車」)。

すたすたの松坊主(あおい輝彦)は、同じ坊主にあやかって暗闇仕留人・大吉(近藤洋介)の心臓掴みを(勿論レントゲン/心電図付き。BGMは「旅愁」)。

そしてカルタの綾太郎(近藤正臣)は、三味線屋・勇次(中条きよし)に。

〆で主水が斬るのは、中村主水初登場回(必殺仕置人・第1話)のゲスト菅貫太郎(ついでに本作元締め役の二宮さよ子は、新必殺仕置人・第1話ゲスト)。

正に本作の基本テーマである“遊び心”に満ちたフィナーレではありませんか。

こんなん必殺ちゃう!という声もあるようですが、いやいや、これも必殺です。

所で、3人の父親と娘って設定、どこかで・・あ、「マンマ・ミーヤ」だ! ガメやがったなブロードウェイ!(んな訳ゃねえか)