デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

謎の足踏み歩行をする前衛芸術。 クロノス(対バルンガ)

イメージ 1♪腕は無いが脚を上げて1!2!1!2! エネルギーを食べろ~

水前寺清子が歌いそうな侵略SFの古典(映画も古いが例えも古い・・と思ったらこの歌、SMAP香取がカバーするそうな…)。

「クロノス」(1957年/カート・ニューマン監督)

宇宙人が放った巨大ロボット“クロノス”に立ち向かう科学者たちのお話です。

クロノスの機能はエネルギー吸収。電力不足に陥った東電がフランスあたりに発電エネルギー吸収マシンを送りつけたようなものです。

で、このクロノスのデザインが斬新の極み。

二つの立方体を短い円柱で繋いでてっぺんに小さいドームとアンテナ2本。手は無く、脚と思しき円柱が4本。以上おしまい。

サイケでアバンギャルドプログレッシヴ(意味不明)な前衛芸術です。

脚は上下にピストン運動(つまり足踏み)するだけなので、歩行移動ができるとは思えないのですが、脚を軽快に出し入れしながら前進。目指すは原子力発電所

侵略兵器とは別に遠隔操縦者(もしくは敵陣侵入者)がいるという図式は、ガラモンとセミ人間、ゼットンと謎の宇宙人(ゼットン星人という呼び方は嫌いだ)を思わせます(ネタ元かも)。

海辺でイチャついてたら海面爆発って構図は、「日本沈没」の藤岡弘、いしだあゆみの出会ったその日に「頂きます」シーンを想起(元ネタ…じゃないよな)。

当時の風潮なのかもしれませんが、タメとか遊びとか破綻とかは無く、ひたすら真面目。

原子人間」や「遊星よりの物体X」なども同様ですが、この真面目さ(一本調子さ)がアダとなって話の展開はやや退屈。

クロノスを自壊させる作戦も分かったような分からないような・・。

エネルギーを吸収する怪物と言えば「バルンガ」ですが、オチの秀逸さにおいて円谷(脚本:金城哲夫)の圧勝です。

「バルンガ」の元ネタは、ロバート・シェクリィの短編小説「ひる(The Leech)」(未読)と言われていますが、本作も影響を与えているのではないでしょうか。