デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

その愛は本物か? ベルリン・オブ・ザ・デッド

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最近のゾンビ映画って、諸行無常の寂寞感をスパイスにしつつ、最後には男気によって愛の証を立てる変則形に移行している気がします(除くアメリカンゾンビ)。

駄目男が最後の最後に究極の愛の形を見せる「香港ゾンビ」、生き残る事よりも恋人の復讐を選んだ「ザ・ホード/死霊の大群」(仏)、死して尚恋人を求めて彷徨う「コリン/LOVE OF THE DEAD」(英)、そして、

「ベルリン・オブ・ザ・デッド」(2010年/マーヴィン・クレン監督)


いかにもバッタモンな邦題ですが“ドイツ産ゾンビ映画という必要最低限の情報は発信しています。

本編僅か59分、未公開、スタッフ・キャスト無名…、期待しろと言う方が無理ですが、これが結構な拾い物。

分かれた彼女とヨリを戻そうとベルリンを訪れたミシェル(マイケル・フイス)。

しかし、アパートに彼女の姿はなく、妙な配管工のおっさんがひとりいるだけ。配管助手の若者が帰ってくると、おっさんやにわに白目剥いてうががががー!

慌てておっさん締め出して窓から中庭を見下ろすと、ゾンビ化した警官が一般市民にうががががー!

あっと言う間に街はゾンビで溢れかえり、アパートの住人は孤立無援。

中庭(パテオと呼ぶのは気が引ける)挟んで、各階の住人がアナログなコミュニケーションをとる立体構造が斬新。

外の様子は? 彼女はどこに? 軍の救済は? 逃走ルートはあるのか?

ゾンビ化の原因は噛まれて唾液感染するウィルス性疾患。感染してもすぐには発症せず、体内のアドレナリン上昇がゾンビ化を誘発。なので、まず必要なのは精神安定剤

エゴな住民がいるのはお約束ですが、胸を打つのは愛の形。

伴侶がこの世のものではなくなる。他人に殺させはしない、勿論独りで逝かせもしない。

ま、このネタで引っ張れるのは1時間だよね、という潔さも心地良く、最近の駄目駄目ハリウッドリメイク・ゾンビに比べれば遥かに“分かっている”作品です。

スペインの[REC]、イギリス・スペイン合作の「28週後」も含めるとゾンビ(発狂系含む)は完全にヨーロッパのホラーアイコンになったのではないでしょうか。

 

★ご参考