『真面目で、おとなしくて、イタチのようなオドオドした目をしていて、いつも孤独で、つまり、何て言うかな、つまり…』
ある青年を事件の犯人と目した牧(岸田森)が、その理由を説明しようとするのですが、うまくいきません。
こんな光景を以前にも…。
『あまりに平凡な男なんですよ。皆に馬鹿にされてね。つまり、何て言うのかな…』
前者は、第16話「かまいたち」、後者は第8話「光る通り魔」。脚本はいずれも、
上原正三。
(1968年12月29日放送/長野卓監督)
暗い裏路地を足早に走る女性。疾風、逆立つ髪、割れる街灯、一瞬で四散する女性。飛び散り、側溝に落ちる四肢。
人為的に真空状態を作り、そこに入った人間をバラバラにする真空切断装置。
犯人は近所の工場に勤めるおとなしそうな青年。
その動機は最後まで明かされない。
『理由は何だ? 言ってみろ。残忍な殺しを考えついた理由は何だ? 他人に恨みでもあるのか? 社会に不満でもあるのか? 言うんだ! 人殺しの理由を言え!』
真面目で、おとなしくて、イタチのようにオドオドした目のこの男が、どうして?
こんな話を、クリスマスも終わって紅白歌合戦を待つばかりの年の瀬に放送…。半端ねえな円谷。
※参考:「東京破壊魔人上原正三。帰ってきたウルトラマン」
→2009年10月7日
「上原が叩いて砕く原風景。怪奇大作戦/霧の童話」
→2011年9月17日