『私はキングアラジン。世紀の怪盗だ』
湖底深く沈んでいく魔術師と呼ばれた男。
『見てください。聞こえているんですね、喝采が。あんなに得意そうな顔して』
『…聞こえます。聞こえます!』
10年前、20mの海底からの箱抜けに失敗して引退した奇術師(今風に言えばイリュージョニスト)・一鉄斉春光。
名声からも喝采からも見放された男がキングアラジンとして蘇る。
「怪奇大作戦/第1話・壁抜け男」(1968年9月15日放送/上原正三脚本、飯島敏宏監督)
仏像や宝石など犯行予告を送り付けた上で鮮やかに盗んでいく怪盗キングアラジン。
追い詰められても壁や地面をすり抜けるように埋もれて消える、正に「壁抜け男」。
完全にお手上げ状態の警察をバックアップするのがSRI(科学捜査研究所)。
第1話らしく組織や人物がテキパキと紹介されて行きます(本来の第1話は「人喰い蛾」だったようですが、諸般の事情で製作第3話放映予定2話の本作が「繰り上げ当選」となりました)。
逃走セスナからの脱出写真(どう見ても「絵」ですが)から犯人の正体がかつて一世を風靡した奇術師・一鉄斉春光(田口計)であると見破ったSRIと町田警部(小林昭二)。
壁抜けのトリックは特殊なスペクトルを持つ繊維によるカメレオン化でした。
湖畔の一鉄斉邸で、スペクトル破壊器を用いて一鉄斉のステルス化を阻止した牧(岸田森)👇。
進退窮まった一鉄斉は箱抜け用のBOXに乗り込んで湖へ。
湖底に行くと拍手が聞こえるんだそうです、と言う一鉄斉の妻・柴乃。
喝采に包まれた一鉄斉は狂気の淵で命綱を切り離して湖底へ。
『皆さま、これより春光一世一代の大魔術、水中50mからの箱抜け。見事抜け出したる時には皆さま、万雷の拍手ご喝采頂きとうございまする』
やがてBOXは湖底の水圧に押しつぶされ…。
一鉄斉の犯行も狂気も知りながら、それでも傍に居続けようとする妻(かつては夫のステージアシスタント)との夫婦愛が泣かせます。
という「ちょっといい話」の後で恐縮ですが、キングアラジンと言えば「究極超人あ~る」光画部1年生・兵頭信(まこと)の瞬間芸≪キングアラジンのまね≫。
2年になった時もこの芸を披露しましたが、その時は何と後輩から、
『キングアラジンならあの格好でゴロゴロ転がっていかなきゃ』
おお、確かに最初に仏像を盗むため寺に忍び込んだ時、軽業師のようにゴロゴロ転がっておりました。
いまだかつてリアルで≪キングアラジンのまね≫をしている猛者を見たことはないですが、結構実在しているのでしょうか。
★ご参考~元祖「壁抜け男」と言えば…。
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★本日のTV放送【14:00~NHK BS/プレミアムシネマ】