マーレ、エルディア人、パラディ島、楽園、ユミルの民、民族浄化、巨人大戦…。
エレンの父グリシャの幼き日の回想から始まる壁の外の歴史。
《私は無知で愚かで世界は理不尽で狂っている》
話の軸が横っ飛びに移動すると同時に一気に視界が開け、世界と言う景色が飛び込んできました。
グリシャのモノローグだけで展開する前半。次々と解き明かされる謎。聞き逃してはなるまいぞとそばだてる耳。何だこの情報密度。
「進撃の巨人 Season3/通算第57話・あの日」
(2019年6月16日深夜NHK総合/金森陽子演出)
新章の導入部であると同時に一種の答え合わせにもなっている解説回。
自動車が走り、飛行船が飛ぶ大国マーレ。世界を蹂躙した巨人の末裔として収容区に隔離されているグリシャ一家を始めとするエルディア人。
外出許可証無しに収容区を離れ市内に入った幼いグリシャとその妹フェイの受難。
エルディア人復権のためマーレ打倒を指揮するグリシャ。やがて王家の血を引く娘・ダイナ・フリッツと結ばれたグリシャは一子ジークを授かり、彼にエルディア復権の希望を託しますが…。
娘を失ってもマーレに媚びへつらう父親にグリシャが向けたまなざし。それはそのまま息子ジークが父グリシャに向けるまなざしに被り…。
楽園、それはエルディア人の流刑地、パラディ島。巨人の脊髄液を注入されたエルディア人は知性をもたない無垢の巨人となって島の奥、壁を目指して…。
『グリシャ…私は…どんな姿になっても…あなたを探し出すから』
妻ダイナもまたここで巨人に。巨人になった姿は…エレンの母を喰ったあの…。
どんな姿になっても、あなたを…。執念か偶然か運命か。
マーレの指揮官は15年前、グリシャの妹を殺した(犬に喰わせた)男、グロス曹長。そのグロスを突き飛ばした副官クルーガー。彼こそ、内部から復権派を支援してきた内通者、コードネーム:フクロウ。
『俺がフクロウだ。覚えておけよグリシャ。巨人の力はこうやって使う』
マーレの船にアルゼンチン・バックブリーカーをかます巨人。差別、弾圧、革命、挫折、反撃。あれよあれよの25分。怒涛の展開。
原作でもそこそこの分量がありましたが、一気に畳み込んできました。