デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

この男(たち)も凶暴につき。 カルロス

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『人間ミンチにするんじゃったら、このドン・カルロスに相談せんかい。ハンバーガーショップ開けるくらい作っちゃるけん』

カルロス志朗平田。チンケなパブを経営しながら銃の密輸をしているブラジル日系三世。

日本のヤクザ達からは「バナナボート」「ブラジル野郎」と馬鹿にされている。

彼らは知らない。カルロスがサンパウロで警察官8名を含む40件以上の殺人事件で指名手配されているマフィアのボスだという事を…。

「カルロス」(1990年/きうちかずひろ監督)

金払いの悪いヤクザにキレて脳天の風通しを良くしてしまったカルロス(竹中直人)。

やられた三代目関東山城一家は敵対する早川組の仕業と早合点して勝手に抗争勃発。

『いいか、跡目は早川殺(と)ったもんじゃ!』

四代目の座を狙う若頭・片山はカルロスを、舎弟頭の叔父貴・佐藤はアメリカ人ヒットマンチャック・ウィルソン)を雇って早川の首を狙いますが、あっさりチャックが早川を幹部もろとも皆殺し。

『どうしてくれるんだ!』と息巻く若頭に『じゃ、叔父貴殺しちゃえばいいじゃん』とカルロス。

白昼路上で、叔父貴の野球チームをまるっと皆殺し。

あまりに派手な殺し業にビビった若頭は、自身に火の粉が降りかかる前にカルロス抹殺を画策するも、余裕で返り討ち。

真相を知った三代目はチャックをカルロス狩りのハンターに雇って追撃を開始しますが…。

「ビーバップ・ハイスクール」でお馴染みの漫画家きうちかずひろの監督デビュー作です。

ベレッタのマガジンに弾を込め、バレルスライドさせて1発を薬室に送った後、マガジンを抜いて更に1発足す・・冒頭からマニアックな描写が炸裂。

竹中のキレっぷりもなかなかですが、チャックの殺人機械ぶりがターミネーターも逃げ出す恐ろしさ(しかも、「ターミネーター2」より1年早い!)。

チャックは必ず全弾撃ち尽してホールド・オープンする前にマガジン・チェンジをするという何気ない動作でプロっぶりを見せつけてくれます。

撃たれた腕は痛くて動かないという当たり前の描写が実にリアル。

団地の長い廊下を延々捉えた1カット、その逃げ場の無い一本道をひた走るカルロス、追うチャック、観ているこちらが不安になるくらいじっと動かないカメラ(TV版「エヴァ」の綾波・アスカ、エレベーター乗り合わせシーンを思い出してください)。

予算がなくても、カメラ一発で緊張感を表現できるという好例です(撮影は仙元誠三!)。

周りも、大木実片桐竜次刈谷俊介、キラー・カン、懐かしアイドル・寺尾友美となかなかに豪華です。