『組織よりも個人を優先する俺なんか、6代目の器なんかじゃありません』
『鷲尾、器ってのはな、自分で決めるもんじゃねぇんだぞ。…生きて帰ってこい』
写真または映画の撮影において、被写界深度を深くする事によって、近くのものから遠くのものまでピントが合っているように見せる事を「パンフォーカス」と言いますが、この「近くのものから遠くのものまで」を「近くの者から遠くの者まで」に置き換えたら本作になるような気がします。
「CONFLICT ~最大の抗争~/第一章 勃発編|第二章 終結編」(2016年/藤原健一監督)
オールイン エンタテインメント20周年記念作品。
「東京都カジノ計画」の利権争いを背景に、やくざ、マフィア、半グレ、警察、政治家が三つ巴・四つ巴なお話をVシネオールスターキャストで。
日本最大のやくざ組織・天道会。その6代目と目される若頭・鷲尾組組長・鷲尾一馬(小沢仁志)。
対するは元天道会若頭補佐で、今は東京の半グレ組織東仁連合やマフィア等を仕切る、明神良成(哀川 翔)、そして、天道会と東仁連合を咬み合わせて東仁連合の壊滅と天道会の弱体化を目論む警視庁。
餌は「東京都カジノ計画」。
オールスターという総花的な器の中で魅せる配役の妙と見せ場のバランスが素晴らしい。
組長とかを演らせると精彩を欠く赤井英和も「うだつの上がらない昼行燈」という中村主水的立ち位置にした途端、存在感が右肩上がり。
赤井とコンビを組むことになったキャリア組の若造IZAMUも(恐らく本人の地であろう)自信過剰ぶりが板についていい感じ。
天道会側のキャラ立ち一番は若頭補佐にして織田組組長の織田征治(的場浩司)。
お勤め中という設定で名前だけ煽って溜めて。第一章ラストでようやく登場(出所)。
若い時はビーバップなチンピラ感が安っぽくてイマイチ好きになれませんでしたが、今回は良い。
出て来た途端、利権なんか知った事かとばかりに大暴れ。出所の挨拶前に死体の山築いてリターン・トゥ・プリズン。
あーこの人の活躍をもう少し観たかったな~と思った人が多かったのか、スピンオフ「CONFLICT ~最大の抗争~ 外伝 織田征仁」が2019年に2本、更に「織田同志会 織田征仁」が現時点で第6章まで(名前が征治→征仁に変わっている理由は不明)。
金脈掘り当てちゃったのかもしれませんね、的場さん。
東仁連合側は何と言っても丹波竜二(小沢和義)。
お気に入りらしい義眼仕込んで得物は日本刀(この人もカジノ利権とかどーでもいい派)。
突っ込んで来る車を躱しざまにタイヤを斬りつけてパンクさせるシーンは「おお!」でございました。
クライマックスには小沢仁志と究極の兄弟喧嘩。
この2人、マジで喧嘩したらどっちが強いんでしょうねえ。
存在だけが強調されて一向に姿を現さないコスパ抜群のボスキャラが明神良成(哀川 翔)。
最後の最後にようやく出て来たと思ったら、まかかまさかの鉄の爪(思わず声に出して「嘘ぉ!?」と叫んでしまいました)。
もともと10周年のお祭り企画の打ち上げ花火。1発(2発?)打ち上げて打ち止めとするつもりだったのか、話を引っ張らずキャラの温存もすることなくケリをつけてしまいましたが、2018年に第三~四章、2019年には第五~八章が制作されました。
はてさて、追いかけたものか…。
※半グレの描写が(極道との対比という意味もあって)ヘラヘラと笑いながら人殺し(しかも一般人も女も子供も容赦無し)と激しく胸糞なので、そこだけお含みの上、ご鑑賞ください。
---------------------------------------------------------------------
★本日7月15日はプロレスラー、ミル・マスカラス(1942~。「マニトウ」に登場する400歳の悪霊ミスカマカスとは別人)の誕生日(おめでとうございます!)
マスカラスと言えば「スカイ・ハイ」byジグソー。この曲が「芸能界逆らっちゃ駄目選手権」極東地区チャンピオン、ジミー・ウォング主演の香港・オーストラリア合作映画「スカイ・ハイ」のサントラ(主題歌)と知っている者は決して多くはない(はず)。
★本日のTV放送❶【13:00~BSプレミアム/プレミアムシネマ】
★本日のTV放送❷【13:40~テレビ東京/午後のロードショー】