その男の通った後にはぺんぺん草一本生えないと言う。
香港から来た悪魔。天皇巨星。ジミー・ウォング。
あと1週間、捜査が長引いていたら、シドニーは瓦礫の山と化していたでしょう。
「スカイ・ハイ」
(1975年/ブライアン・トレンチャード・スミス監督)
そう、ミル・マスカラスの入場テーマとしてお馴染み、ジグソーのあの曲をメイン・タイトルに使用した映画です(当然、こっちがオリジナル)。
オーストラリアのエアーズロックで逮捕された麻薬密売人チャン(サモ・ハン・キンポー)。
『黒幕は誰じゃ?! とっとと口割らんかいコラ!』
『(中国語で)知るかボケ! ワシを誰じゃ思うとるんじゃ!』
『英語で喋らんかタコ! じゃ中国語分かる奴呼んだるわい』
そしてやってきた香港警察の核弾頭、ファン警部(ジミー・ウォング先生)。
到着早々、チャンをボコボコにして自白強要。しかし、チャンは護送中に狙撃され昇天(犯人はジミー先生にボコられて死亡)。
他国で令状も無しに、黒幕のアジトに不法侵入した挙句、大乱闘。なます斬りにされながらも死体の山を築いて逃走。
通りすがりに助けてくれたお姉ちゃんとは即いい仲。しかし、追っ手の襲撃でお姉ちゃん死亡。
マッドマックスと化したジミー先生は、一般車輌強奪して追撃、皆殺し(一般人巻き添え多数)。
そして難攻不落の要塞ビルにハングライダーで奇襲攻撃(勿論、証拠も令状も無し)。
素晴らしい!(ネタ的にもこっちの方が「スカイ・ライダーズ」より1年早い)
冒頭、エアーズロックでの赤土巻き上げるヘリと車のチェイスがナイス。
そして、ジミー先生登場と同時に流れる「スカイ・ハイ」のかっちょいいこと。出てきた瞬間から“俺様”フル・スロットル。
そう言えば、サモ・ハンって、ブルース・リー、ジミー・ウォング、ジャッキー・チェン、ドニー・イエンという新旧全てのクンフー・スターと戦っているんですねぇ(しみじみ)。
黒幕役は何と女王陛下の007、ジョージ・レーゼンビー。ちょっとドン・フライを思わせる佇まい。
耐火処理って何?な火達磨まで披露する熱の入れよう(写真下。大火傷したそうです)。
ジミー先生も吹き替え無しの危険なスタント博覧会(写真上。大怪我したそうです)。
出色はやはりカーチェイス。フロントグラスが弾け飛び、ドアが消し飛び、車体がボロ雑巾になるまでぶつけ合い、最後はきっちりクラッシュ&バーン。これは最早職人芸。
アングル、編集も凝っているのに落ち着いていて“いい感じ”。シネマスコープの画角を活かした映画らしい映画だと思います。