デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

懐深さが試される。 ソドムの市

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稚拙な演技、映研並みの演出と映研以下の特撮。そして繰り返される確信犯的脱力ギャグ。

「おいおい、本気かよ(呆)」が、「く、くだらねー(笑)」に変わり、いつしか「あ、なんかいいかも」に(←パンチ・ドランカー状態)。

「ソドムの市」(2004年/高橋洋監督)

勿論パゾリーニとは何の関係もありません。この市は「座頭の市」「めくらのお市」の市です。

18世紀。領主・俎渡海市兵衛は、婚姻の日に呪いで視力を失い、冥府魔道へ。

300年後。10歳にして4人の命を(くーだらない理由で)奪った俎渡海市兵衛の子孫・俎渡海市郎は婚姻の日に視力を失い、冥府魔道へ。

仕込み杖を片手に、妹の死体を納めた棺桶を引きずり歩くソドムの市は、桃太郎のように配下を増やしながら、恐ろしい悪事の数々を次々と。

ベースにあるのは「ドクトル・マブゼ」で、ここに「ジャンゴ」やら「座頭市」やら「飛べ!必殺うら殺し」やらを散りばめているのですが、全く以って志に予算が追いついておりません。

もうヤケを起こしたとしか思えない開き直り。

置石で新幹線を転覆させるという壮大な計画も、明らかに「廃線だろ、ここ」な線路と新幹線を無理矢理繋いで、最期はミニチュアとも呼べないおもちゃをひっくり返して合成。

車にしがみついている女刑事は写真だし、B-29は(アルバトロス並みの大きさのはずなのに)普通の模型(ピアノ線丸見え)。鳩までハリボテ。

まっとうな神経を持ち合わせていたら、こんなものを金とって観せようとは思わないでしょうが、しゃあしゃあと公開してしまう図太さに敬意を表します。

(後半の展開は今月17日にレビューした「テレフォン」リスペクトなのか…)

観る側の懐深さが試されるロールシャッハ映画です。

※参考:高橋洋と言えば…

  「呪怨(ビデオ・オリジナル版)」→2008年8月16日
  「ピンボケで嘲笑う女。女優霊」→2010年8月19日
  「三輪ひとみ万歳! 発狂する唇」→2011年1月21日
  「きーぷ・うぉっちんぐ・ざ・すかぁーい!血を吸う宇宙」
   →2011年1月22日

  「絶望という名の光(Jホラー、次の一手は暗中模索)。恐怖」
   →2011年8月12日