時かけでラブコメで攻殻? カンフーサイボーグ
田舎町。ヒロインの前に現れる外界から来た男と慕い続ける地元の男。
はて、似たような構図の話をどこかで…。
「カンフーサイボーグ」(2009年/ジェフ・ラウ監督)
ロボットが組みあがる工程を魅せる冒頭クレジット部分が素晴らしい。
指が出来れば胡桃を割り、腕が完成すれば詠春拳と二胡の練習。
この組み立てシークエンスは絶対「攻殻」を意識しているでしょうね。最後にハートが組み込まれて、とったポーズが“考える人”。
作品のカラーとテーマを見事に表現しています。
極秘裏に建造されたロボット刑事K-1(アレックス・フォン)。KはクンフーのKでしょうが、日本人にとっても“ロボット”で“刑事”とくれば名前は「K」以外あり得ません。
このロボット刑事の完全な安全性を確認するため、メーカーは実直さだけが取り柄の田舎警察署長タイチョン(フー・ジュン)に身柄を預けます。
但し、K-1がロボットであるという事は極秘。
署にはタイチョンが勝手に親代わり兄代わりを買って出ている亡き同僚刑事の娘・ムイ(スン・リー)が。
タイチョンの心配をよそにムイはK-1に好意を寄せ始め…ってラブコメかい!(笑)
でもムイ役のスン・リーがエライことキュートだから許す(まさか、K-1のKってケン・ソゴルの…な訳ゃねえか)。
このまま胸キュンな異種恋愛講座で終わっても良かったのですが、最新型ロボットK-88が自我に目覚めて暴走を開始した為、話は一気に王道エンタへ面舵一杯。
お前ら一体何で出来てんだよ!なトランスフォーム(と言うよりメタモルファーゼ。ほとんど007←スパイじゃなくてサイボーグの方ね)を繰り出して大バトル。全く以て正しいCGの使い方。
そして両者のバトルに巻き込まれたタイチョンが…。
後半はなかなかに意表を突いた展開で“奇妙な味わい”のSFエンターテイメント・アクション・ラブ・コメディになっています。
「人間は造物主である神を疑う。何故ロボットは人間を疑ってはいけないんだ」
全編“ありえねー!”の連続ですが、師父の箴言「考えるな、感じるんだ!」を胸に刻んでいる人は十分楽しめる一編です。
K-1の顔は吉相を組み合わせたもので、モデルはアンディ・ラウというふざけた設定。
「だったら(警官なんかじゃなくて)歌手か俳優にすればいいだろ!」
「それも考えたんだが(俳優にしたら)アンディに悪いだろ?」
アンディというより草ナギ剛なのですが…。もし、本作を日本でリメイク、なんて話になったら、是非、草ナギくん、星野真理、中野英雄のトリオでお願いします。