サイボーグ化され、心臓に爆弾を埋め込まれた元囚人の刑事が、要人の複製・入れ替わり計画を阻止せんと弾丸・銃弾雨あられ。
「未来世界」(1976)、「ニューヨーク1997」(1981)、「ターミネーター」(1984)、「ロボコップ」(1987)のいいトコ取りした後出しジャンケンという好立地でありながら、脚本が壊滅的に破綻。
結果、トロ火でコトコト煮込んだ二番煎じ感だけが強調され…ているにも関わらず、無駄にド派手な銃撃戦が全部をチャラに…。
B級に中二の誉れを上塗りする偏差値貧乏の佃煮。
「ネメシス」(1992年/アルバート・ピュン監督)
2027年.サイボーグ技術の進化により負傷欠損個所を機械で補う事が当たり前となった世界。
健康体であっても、仕事上有利と判断すれば生身を捨て機械化する人間も。
で、レイバー犯罪ならぬサイボーグ犯罪が多発。
サイボーグにはサイボーグを。ロス市警で対サイボーグ刑事になることを条件に、恩赦と鉄の体を与えられた囚人アレックス・レイン(オリヴィエ・グラナー)。
かろうじて押井版「攻殻機動隊」(1995)には先んじています。
とは言え、アンドロイドとサイボーグを概念混同している時点で設定は破綻祭り。
ストーリーは全部忘れて「追わず悩まず突っ込まず」が吉。
背景設定として面白かったのは、日本とアメリカが統合されているという事。
でも、ひとつの国になったわけではなく、独立性を維持したまま円もドルも普通に流通。…えっと、どこいらへんが統合なんでしょう?
アレックスがジャワのホテル代金(1泊5000円)をドルで払おうとしたら『円でお願いします。ドルは不安定なので』とか言われていました。円の方が強いのか。ますます分からん(因みに本作制作時のドル円レートは1$126¥くらい)。
お話戻って…。ストーリーを追わずに何を観るのか。
そりゃもう銃撃戦っすよ。ってか他に観るところなんかないっす。
アレックスの主な得物はカスタマイズされたダブル・ベレッタ(92FS)。
「男たちの挽歌」シリーズも入っているわけですね。
冒頭でアレックスを追い詰める女戦士ロサリアが使っていたのが、Benelli M3T Super 90。
イタリアの小火器メーカーであるベネリ社が開発した、公的機関向けのコンバット・ショットガン。上部回転式折り畳みストック装備タイプで、本体上部に小型ランチャーが装着されています。
一番の見どころは米軍の機関銃M60D。
本来はヘリコプターのドア部分に固定する(「マトリックス」でネオがモーフィアス救出時にぶちかましていたM134みたいな)奴なのですが、こいつをステディカム・ハーネスを使って持ち歩き使用。
「エイリアン2」(1986)のM56A2スマートガンをイメージしたカスタムらしいのですが、絵的には「プレデター」(1987)の無痛ガンの方が近いかも。
因みにこの時、隣の相方が使っていたのはブローニングM2重機関銃。
建物の中で使ってはいけません。
で、この桁外れの猛攻から逃れるためにアレックスが使用したのがHeckler & Koch MP5K。
短機関銃MP5の小型版("K"はKurz(ドイツ語で「短い」)の頭文字)。
アレックスはこいつで足元の床を円形に掃射。そのまま階下へ、そして更に下へ。
「アンダーワールド」(2003)でケイト・ベッキンセイルが同じ事やっていましたが、オリジナルはこっち(ついでに言えば「ジャッジ・ドレッド」よりもこっちの方が早い)。
個人的一番のお気に入りは、街中で絡んできたサイボーグに怯えるフリをしながら背中をSIG-Sauer P225で撃ち抜き、命乞いに耳も貸さずにドカスカ撃ち込んで捨て台詞を吐いて去ってゆく婆さん。
何と言うか、滅茶キュートでした。
監督は本シリーズがお気に入りのようで、自らの手で続編を「4」まで撮っています(2017年には別監督で「5」も!)。
御用とお急ぎでない方は追いかけてみるのも一興かと。
★ご参考
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