『必ず戻って来て瓦礫を全部どかしてやる。約束するよ。墓も見つけてやる。お前の息子が訪ねて来れる場所にな』
1988年12月7日にアルメニアを襲った大地震。
死者は少なくとも25,000人、負傷者19,000人、特に顕著な被害が出たレニナカンでは15,000人~17,000人が死亡し、街も壊滅。
この絶望を煮〆たような惨状を当時の記録写真等を参考にしながら忠実に映像化(あくまでビジュアル上の話)した群像劇。
「グラウンドブレイク 都市壊滅」
(2016年/サリク・アンドレアシアン監督)
こういう映像を見ると日本とヨーロッパの建築の違いを痛感します。
日本は木造。耐震性には優れますが、火が回るとひとたまりもありません。
ヨーロッパは石造り。火には強いかもしれませんが、崩れたら地獄。
閉じ込められ、押し潰され、救出は至難の業。
この石が、レンガが、コンクリートが積み木を崩すように倒壊していく様には戦慄が走ります。
お話は地震発生から4日間の救出活動をじっくりと。
道路を埋め尽くす車の列。てっきり逃げ出してきた人達かと思ったら違いました。
全て被災地に向かう車。何かできるのではないかと、思いつく救援物資を詰め込んで。
車が動かないと分かるや、ツルハシ1本担いで徒歩で。
後に続く人、人、人。自助のプロパガンダと言ってしまえばそれまでですが、グッと来るものがありました。
という本来の見どころとは別に私が一番身を乗り出したのは、主人公のひとりが持っていた拳銃(そこかよ!)。
映画ではなかなかお目にかかる機会の少ないベルギー産リボルバー。ナガンM1895。
1890年代初期にエミール・ナガンとレオン・ナガンの兄弟によって開発されました。
1895はロシア政府(帝政ロシア)が1895年に採用した事に由来します。
シリンダーがスイングアウトできない一種のクラシック銃なのですが、構造が独創的。
撃鉄を起こすときにシリンダーが回転しながら前方に移動、更に弾頭の先まで包み込んだ特殊カートリッジの先端がバレルに挿入されて、発射時の燃焼ガス漏れを完全に防ぐため、弱装弾であっても十分な破壊力を保持する事ができます。
通常のリボルバーなら、シリンダーとバレルの間に出来た隙間から左右に漏れてしまう燃焼ガスを弾丸射出に振り向ける事ができるので威力倍増というわけです。
これ言葉で説明しても伝わりにくいと思うので、こちら☟の動画をご覧ください。分かり易~く解説してくれています。
https://www.youtube.com/watch?v=Dh1mojMaEtM
モデルガン欲しいな…(ハートフォートが出す予定だったのですが、試作公開で止まっちゃってるっぽい)。
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★本日1月2日は天本“死神博士”英世(1926-2003)の誕生日。
天本さんと言えば、「キングコングの逆襲」のドクター・フー、「日本のいちばん長い日」の佐々木大尉(横浜警備隊長)、「紅い眼鏡」の月見の銀二などが印象深いですが、今回は死神博士として死後デジタル出演した「仮面ライダー THE FIRST」と、飛び道具にも程がある“女役”、大公母ダークを演じた「宇宙からのメッセージ」を。
★本日のTV放送【19:00~BS12/土曜洋画劇場】