ジャンゴ あるいは古館伊知郎に学ぶ原産地呼称統制法
格闘技の世界では、同じ技に幾つもの名前がある、なんて場合があります。つまり使い手によって呼び名が変わるということ。
この決め事を頑なに守っていたのがテレビ朝日時代の古館伊知郎アナ。
例えば、飛び上がって相手の後頭部を蹴り上げる所謂「延髄斬り」(※写真上)。これをアントニオ猪木が使った場合、
「伝家の宝刀、延髄斬り!抜けば玉散る氷の刃、修羅場くぐりの延髄斬りだあ!」
と絶叫しておりましたが、同じ技を別の選手が使った場合、
「続いては・・・ジャンピング・ハイキック」
といたってそっけない実況になっておりました。
同じくドラゴン・スープレックス(写真2枚目)も藤波辰巳が使った場合は、
「まさか、ドラゴンか、ドラゴンか?おぉ~っとドラゴン・スープレックス・ホールドォ!」
とお祭り状態でしたが、別の選手が同じ技を使った時は、
「フルネルソン・スープレックス、カウントはツー」
とこれまたあっさりとした口調でした。
お酒の世界にもこれと同じ名前の占有権みたいなものがあります。
有名な奴がシャンパーニュ地方で作られたもののみを「シャンパン」と呼ぶというあれですね。
その他の地方のものはイタリアのCAVAのように固有名称のあるものを除けば、「スパークリング・ワイン」です。ブランデーのコニャック、アルマニャックも同様。
これらの名称は法律によって明確に保護されています。
A.O.C(Appellation D’origine Controlee アペラシオン・ドリジン・コントロール)。原産地呼称統制法。略してAC法です。
古舘の実況は正に戦いの原産地呼称統制法と言えるのではないでしょうか。
映画の世界はどうでしょう。ギッてパクって真似してガメて、写して盗んで焼き直し…生き馬の目を抜いてマンダリン・オレンジと入れ替えてしまう業界に呼称統制はハードルが高すぎるかもしれません。
「ジャンゴ」の商標権って誰が持っているんでしょうねえ。ネロ?三池?タラ?フリー?