
殺されては別の日常に放り込まれ、また殺される。
何度も生き、何度も死ぬ。何のために?
「今日も僕は殺される」(2007年/ダリオ・ピアーナ監督)
アイス・ホッケーに興じる学生からビジネスマン、タクシー運転手、クスリに溺れる駄目男…。イアン・ストーンは幾つもの異なる日常を生き、そして殺される。
何故? この謎が本作の“掴み”。
小洒落たタイム・トラベルものか、時間軸をひねった「ファイナル・デスティネーション」かと思ったら、後半突如「ブレイド」+「マトリックス」に突入。
よもや今頃になって黒のロングコートにサングラスなんて出で立ちを拝む事になるとは思いませんでした(しかも、「Find Him」という台詞回しがエージェント・スミスそっくり)。
正体を現したハーヴェストのビジュアルもどこかで見たことがあると思ったら「リローデッド」のツインズじゃないですか。
展開としての意表は突いていますが、ネタが割れてしまえば末期厨二病の妄想満開。
まあ一番近いのはTVアニメ版「デビルマン」かもしれませんが。
武器が剣状に変形する腕1本ってのも芸が無いなあ。
長細いものを持ったら刀(ライト・セーバーでもいいや)に変形できる能力があるとかいう設定にすれば、その場その場で棒状のものを探してチャンバラをする、という展開に出来たのに。
あと、この邦題はなんじゃらほい。
しゃらくさい単館アート風青春映画かと思いました。因みに原題は「The Deaths(複数形) Of IAN STONE」。
もし、これが、ダーク・ヒーローものテレビ・シリーズ「這いよれ、イアンくん」の第1話「死んで死んで死んで覚醒」とかだったら、「お、来週も見ようかな」と思うかもしれませんが、映画だと思うと底が浅すぎ。
続編作る気なら止めたほうがいいと思います(これがスタン・ウィンストンの製作遺作だと思うとちょっと悲しい)。